※この記事は栄養成分自体の化学的な性質等を示すものであり、ごはんの効能を表すものではありません。
コツコツ骨骨カルシウム
実に体内のカルシウムの約99%が骨と歯
残りの1%が血液などに存在します。
今も昔も、人もわんちゃんも、骨の成長に欠かせない栄養素。
しかし!
「カルシウムは摂れば摂るほどいい」
というわけではありません。
中学生当時の僕にも教えてあげたい・・
適量を、他の栄養素とバランスを取りながら摂取することが大切なのです。
骨の成長以外にも!カルシウムの役割&過不足による弊害
カルシウムは骨や歯の成分として、骨格を強化するほかに
・神経細胞の情報伝達
・血液凝固の働きに関与
・免疫作用への関与
・ホルモン分泌の調整
・多くのタンパク質と酵素を
安定&活性化
など驚くほど多くの働き!
多さだけでなく、カルシウムの機能は生命維持に極めて重要なものばかり。
なので、カルシウム不足が起きると大変なことに!
想像を絶する?!カルシウム不足の恐ろしさ
カルシウム不足で骨が溶けだす!?
筋肉・神経・血管・免疫・骨など
カルシウムの不足は全身に悪影響。
なので、カルシウム不足が起きないよう
体内では
リン酸カルシウムという形で、
骨に常にカルシウムを貯蔵しています。
食事でのカルシウム摂取が不足すると
⇒血中のカルシウムが不足
⇒副甲状腺からホルモン分泌
⇒骨のカルシウムを溶かし放出し
血液中にカルシウムを補充
「なんとも便利な機能!」
なんて思っていてはいけません。
この状態が長く続くと、からだに様々な弊害が生じます。
骨からカルシウムが溶け続けると
・骨から溶け出るのは、イオン化したカルシウム
=いろいろな部位に沈着しやすい。
・動脈硬化
・細胞の働きを弱める
・骨に沈着し神経圧迫
を引き起こす。
カルシウム不足は尿結石の原因
結石の成分の一つがカルシウムなので
これは意外なようですが
カルシウムを十分に摂取している
⇒便として排出される
⇒尿結石の心配がなくなる。
逆にカルシウムが不足している
⇒シュウ酸が尿に流れ出る。
⇒尿中でシュウ酸とカルシウムが結合
⇒尿結石となる。
カルシウムが過剰でも、尿結石が起こりやすいので、適量を摂取することが大切。
授乳中の母犬で起こるカルシウム不足
母乳の中に自分の血液中のカルシウムを提供するため起きる
産褥(さんじょく)低カルシウム血症
ふるえ、痙攣などが現れ、数時間で進行し、心拍数、呼吸数、体温が上昇。
治療しないと死亡してしまうケースも。
カルシウムを静脈注射をすると即回復。
カルシウムが、生命維持にいかに大切かが見えやすい病気ですね。
低カルシウム血症が起きる
血液中のカルシウム濃度が低くなる病気
原因として
・ビタミンD欠乏症
・腎臓病
・糖尿病
などの病気が挙げられます。
症状としては
・皮膚の乾燥
・爪や被毛の劣化
・発熱、ふるえ
・ふらつきなど運動失調
など、様々な形で現れ、悪化すると痙攣や意識消失から死に至ることもあります。
逆にカルシウムの過剰とは?特に成長期には注意が必要
成長期に、低カルシウム食を与えると、骨に異常が出るのは想像がつきやすい
ですが、最近では
・高カルシウム食で骨に異常が出る
ことが強く懸念されています。
成犬であれば
カルシウム摂取量に過不足
⇒体内で一定のバランスを保つ
そんな機能を持ちます。
子犬期ではこの機能はまだ未熟
なので、特に気を付ける必要があります
また子犬期は骨が大きく成長する時期
=それだけ骨が不安定な状態。
特に大型犬は
短期間での成長割合が非常に高い
ので、より注意が必要だといえます。
子犬も成犬も、ライフステージに合わせた総合栄養食のフードで、必要なカルシウムはしっかり摂れます。
それ以上摂取しても、骨や関節は丈夫になるどころか、逆効果なのです。
子犬の成長を願って、カルシウムサプリ。せっかくの愛情が、逆にワンチャンを苦しめる・・・そんな悲しい事件が起きませんように
ビタミンDの過剰に注意
ビタミンD=カルシウムとリンの吸収を促進
⇒ビタミンDの過剰
=高カルシウム血症の原因となることも
高カルシウム血症
軽度であれば無症状が多いですが
重度になると
・多飲多尿
・尿路結石
・心筋の異常
・神経症状
など、様々な症状が現れます。
手作りごはんで気を付けるべきは「鮭」
ビタミンDの、AAFCOでの基準は
・500~3000IU/kg
ですが、鮭だけを食べさせた場合
・40000以上IU/kg・・・
ぶっちぎりで過剰
鮭を毎日与えるのはおすすめできません
カルシウム摂取は他の栄養素のとバランスが大切
=カルシウムの吸収増加
・リンの過剰
=カルシウムバランス崩壊
・ビタミンD
=カルシウムとリンの吸収を促進
・カルシウム&マグネシウム
=リンの吸収を抑制
これらの栄養素はそれぞれ密接に関係しているので、摂取のバランスが大切です。
特にカルシウムとリンのバランスが重要
重要なことなのでAAFCO基準でも
カルシウム:リン比=1:1〜2:1
とされています。
ここで大きな問題
わんちゃんが大好き!
ごはんのメインともいえる肉。
肉のカルシウム:リン比はおよそ
1:16~32
圧倒的な高リン比率!
ヒッポのごはんでも例外ではありません。半分くらいが肉なので・・・
肉比率が高いごはん
=絶対にリン比率が高い。
それなら他の食材でカバー!
・わんちゃんに与えられそう
・かつカルシウム比率の高い食材は
・干しエビ 7100:990
・小松菜 150:46
・木耳 310:230
・白ごま 1200:560
・ヤギミルク 1080:810
※いずれも100g中の含有量(mg)
例えば、肉の中では一番リン比率の低い
猪(カルシウム4:リン170)なら
・小松菜200gを一緒に食べれば
・合計=カルシウム304:リン262
でカルシウム割合が勝ります。
一日に必要なカルシウム量もクリア!
めでたしめでたし~♪
んなわけないやん 怒
ビタミンDゼロ・ビタミンAの過剰・・・
ホウレンソウより少ないとはいえ、シュウ酸たっぷり摂取
・・・そもそも・・・
そんなに葉っぱばっかり食べられへんし!怒るでしかし
ですよね~とらちゃん
ごはんは美味しく食べないと!
栄養バランスを取るために、そして美味しく食べてもらうには他の食材も必要。
しかし、そのほとんどがリン割合が高い。
カルシウム:リンを1~2:1にするには
カルシウムそのものを加えるしかない!
完全無添加を謳うヒッポのごはん
カルシウム添加しか手はないのか?!
このピンチを救ってくれたのが
「風化貝カルシウム」
約1500万年前の化石化した貝殻が原料
生体成分が抜け、焼成処理する必要なし
自然の食品に含まれるカルシウム同様
骨の栄養となる善玉カルシウム
焼成してないから、イオン化していない!
ありのまま「自然にあるもの」ということでセーフ・・・ですよね!
と言うか、風化貝カルシウムには他にもすごい効果が期待できるので、積極的に採用させてもらいました。
※安全性については我が身で証明しております
ほかにもこんな時にバランスが崩れるので注意
ビタミンD不足はまれ
わんちゃんは日光に当たってもビタミンDの合成ができません。
それでも、よほど質の悪いドッグフードを食べていなければ、ビタミンD不足による低カルシウム血症はまれ。
注意すべきは、リンの過剰
肉中心のごはんでは必ずリンが過剰
なので
手作りごはんでは特に注意が必要です。
カルシウムとのバランスが大切です。
それよりも危険なのが腎臓病。
=リンを排泄する力が弱くなる
体内のリンが過剰=「高リン血症」
⇒骨のカルシウムをどんどん溶かし始める
なので腎臓病下では
食事からのリン制限が必要になります。
マグネシウムは
カルシウム同様、筋収縮に関与
が、マグネシウムの過剰は尿結石の原因。
AAFCOでの基準はありませんが
・カルシウム:マグネシウム=2:1
が理想です。
カルシウムの含有量だけではなく、吸収率にも注目!
カルシウムを多く含む食材は
先ほどのリンとのバランスの所の通り。
意外と少ない
・わんちゃんにあげられそうで
・さらにカルシウムが多い
となるとなかなか難しい。
その上
カルシウムは非常に吸収率が悪い!
それぞれ見てみますと
・動物性 約30%
・植物性 約20%
乳タンパク質はカルシウムの吸収を助ける
なので
乳製品のカルシウムは吸収率はやや高め。
同じ理由で、動物性や植物性のカルシウムも乳製品とともに摂取すると吸収率が高まります。
この吸収率の悪さに目を付けたのが
カルシウムサプリ
=イオン化カルシウム
⇒中には吸収率100%近いものも!
吸収率を武器
に、どんどん販促・売り出し!
だがしかし!!
吸収率が高ければいい
というものではないのが難しいところ。
サプリは吸収が良い反面
を持ちます。
骨から溶け出した
リン酸カルシウム同様
・動脈硬化
・細胞の働きを弱める
などの可能性もあるので
悪玉カルシウムとも呼ばれるのです。
その反面、野菜や海草など
自然に含まれるカルシウム
は、穏やかに吸収され骨の栄養に。
なので善玉カルシウムと呼ばれます。
なのでサプリメントに関して
わんちゃんがライフステージに合わせた総合栄養食をきちんと食べられていれば
与える必要は全くないと言えます。
ごはんやサプリだけではなく
骨を材料にしたおやつ
にもカルシウムは含まれます。
特に成長期のわんちゃんは、カルシウムの過剰摂取に気を付けてあげましょう。
コメント