※この記事は栄養成分自体の化学的な性質等を示すものであり、ごはんの効能を表すものではありません。
・持久力のアップ
・筋肉痛の低減
ダイエット中やアスリートの方に、何かと話題のカルニチン
人でも犬でもいろんなサプリがありますね
販売サイトによって
・カルニチンorL-カルニチン
呼び方が変わっていたり
・遊離カルニチンがあったり
・アセチルカルニチンが出てきたり
やや情報が交錯気味。
なのでまず初めに頭を整理しておきたい
カルニチンには
・D-カルニチン(以下D-)
の2つの型があります。
サイトによってL-を付けて呼ぶのは、D-と区別するためだと思われます。
単にカルニチンと呼ぶサイトもあるので
・L-とカルニチンは違うもの?
・カルニチンに何かが結合したのがL-?
なんていう疑問がモヤモヤ
・・・するのは僕だけか?
D-は体内でL-の吸収を阻害する存在
その上、D-/L-、2つの型のうち
・食物に含まれるのもL-だけ
なので
D-のことなんて
きれいさっぱり忘れて大丈夫。
そうすれば残るのはL-だけ
つまりサプリを紹介するサイトでは
L-カルニチン、カルニチン、どっちで呼んでても同じものなんです
(このページでは以下カルニチンで統一)
体内のカルニチンは大きく分けて2種類
カルニチン(=L-)は体内では
何とも結合していないfreeな状態
・アシルカルニチン
脂肪酸や有機酸と結合しアシル化した状態
この2種類のいずれかとして存在
体内のカルニチンの内
約10%がアシルカルニチン
その大部分を占めるのが
アセチルカルニチンなのです。
ここまでは大丈夫でしょうか?
「アシル」と「アセチル」が似てるし!ややこしいなぁ~
アシルカルニチンには
アセチルカルニチンの他に
・ヘキサノイルカルニチン
・ミリストイルカルニチン
・パルミトイルカルニチン
などがあります
が・・・・
・そのうえ機能性もほぼ不明
なので
ここでさっぱり忘れましょう
ということでカルニチンと言えば
・カルニチン(L-)
・アセチルカルニチン
この2つを理解できていればバッチリ!
犬の健康に欠かせない!カルニチンの体内での働き
脂肪燃焼系!
と表現されるように、カルニチンの主な働きは脂肪をエネルギーに変えること。
だと思われがちですが
実は脂肪からエネルギーを作り出すのは
ミトコンドリアの役目。
カルニチンには
そのミトコンドリアに脂肪酸を運び込む
という重要な役割があります。
⇒脂肪酸に分解される
脂肪酸だけではミトコンドリアの中にスムーズに入れない
カルニチンと結合した脂肪酸だけがミトコンドリアに正常に取込まれる
⇒燃焼してエネルギーに変換。
※単体の脂肪酸では、ミトコンドリアの内膜を傷つけるので、カルニチンは脂肪酸からミトコンドリアを守っているとも言えます。
特に、心臓で使われる60~70%が、脂肪酸から作られるこのエネルギー
なのでカルニチンには
心臓機能を助ける働きがある
とも言えるのです。
もう一つのカルニチン【アセチルカルニチン】の働き
アシル化したカルニチン
=アセチルカルニチンには
カルニチンとは違った働きがあります。
【アセチルカルニチンの働き】まずひとつ目
・ミトコンドリアの尿素回路の活性化
=ミトコンドリア内でグルタミン酸と結合
⇒AGA(Nアセチルグルタミン酸)を生成。
⇒AGAがミトコンドリアの尿素回路を活性化
⇒アンモニアを尿素に代謝しやすくする
ミトコンドリアに蓄積される、アンモニアなどの老廃物の排出を促すことで
ミトコンドリア自体が活性化。
カルニチンのエネルギー生成とともに、筋力の低下や疲労感を低減する働き。
また
ミトコンドリアの機能低下は老化の一因
なのでアセチルカルニチンはアンチエイジングにもひと役買っているのです
【アセチルカルニチンの働き】ふたつ目は
・脳機能の向上
脳には血液脳関門という機構があり
※分子が小さいので通過できる
脳から血管に不要な物質を排出
血管から脳への有害物質の侵入阻止
※分子が大きいので通過できない
など脳の環境を守る役目を果たしてます
逆に言うと、この機構のおかげで
脳に良い作用のある物質まで
分子が大きいため脳に届けるのが難しい
ということになります。
しかしアセチルカルニチンは
この関門をやすやす突破!
脳内でアセチルコリンの生成を助け、脳機能の改善に役立ちます。
脳の神経伝達物質
アルツハイマー・認知症改善のキー
また人では精神障害・うつの改善にも期待が寄せられています。
アセチルカルニチンの働きは他にもたくさんありますが、ぼくらにとって特に重要なのはこの2つだと思うよ
カルニチンが多いのは【肉】毎日のごはんで効率よく摂取!
カルニチンは体内で
肝臓および腎臓で作られます。
どちらも必須アミノ酸
しかしその合成量は人で
・必要量の25%
わんちゃんでも同様と考えると
・残り75%
は食事からとる必要があります。
また、その合成能力は加齢とともに衰退
特に遊離カルニチンよりもアセチルカルニチンの減少が激しくなります。
なので
・肝、腎疾患のあるわんちゃん
では特にごはんからの摂取が重要です。
カルニチンはいろんな動物の肉
特に「羊」に多いことが知られています。
その量を見てみると
肉に含まれる総カルニチン量(単位mg/100g)
マトン | ラム | 牛 | 豚 | 鶏 |
167.8 | 80 | 76 | 21 | 10.2 |
※マトンは生後2年以上、ラムは生後1年未満の羊
やっぱり羊が圧倒的!
かと思われましたが・・・
他の発表では
肉に含まれる総カルニチン量(単位mg/100g)
鹿 | 駝鳥 | 牛 | 馬 | 羊 |
約117 | 約70 | 約60 | 約59 | 約48 |
思いもよらないほど全く違う数値
先の発表には含まれていなかった
鹿・駝鳥・馬の圧倒的なカルニチン量
そして羊があまりに低い数値
同じ動物でも品種や年齢
また測定方法でも差が出るのでしょう
鹿においては別の研究でも
120mg/100 g(後の発表とほぼ同量)
という数値が発表されているので
信ぴょう性は非常に高いと言えます。
また鹿は
アセチルカルニチンの量が多い
ことでも知られています。
その量は牛の約2倍
カルニチン摂取には鹿肉がベスト!・・・なのかな?
研究結果に、差異が見られるカルニチン量
ですが、その共通した知見として
・赤みの強い肉に多い
・ミオグロビンが多い肉に多い
=鉄分の多い肉と予想
などが挙げられます。
胃に入った食物を、また口に戻して、もぐもぐして飲み込むことを繰り返す動物。
牛・羊・鹿など
ついでなので各肉の鉄分を比較
馬 | 鹿 | 駝鳥 | 牛 |
4.3 | 3.9 | 2.8 | 2.8 |
猪 | 羊 | 豚 | 鶏 |
2.5 | 2.0 | 0.9 | 0.3 |
「完全一致」とはいきませんが
「およそ比例する」とは言えそう
手作りごはんでは、特にシニア犬には赤身肉の割合を増やしてあげると、自然にカルニチンが摂取できると言えます。
また
アセチルカルニチンは水に溶けにくい
という特性を持ちます。
※鹿肉のアセチルカルニチンだけは水にも溶けてしまいやすいようです。
そこで例えば
カルニチン(L-)摂取の場合は、
・焼く場合は肉汁も与える
など調理の工夫も必要ですね。
脳機能向上に、アンチエイジング。ヒッポのごはんでは、シニアの方には、アセチルカルニチンが多く、低脂肪高たんぱくな「鹿肉」を中心にレシピを組み立てているよ。
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