【飼い主必見】犬が体を掻きむしる!その痒み、単なる皮膚炎じゃないかも?見極め方と自宅でできるケア

犬のかゆみ 犬の健康

うちの子ずっとお腹カイカイかいてんねん

うちの子はしょっちゅう足の先カジカジ噛んでるわ

・愛犬が体を掻きむしったり
・しきりに舐めたり
・噛んだり
飼い主さんなら胸が痛むでしょう。

犬の「痒み」は
・一時的なもの
から
・慢性的な病気
まで
非常に多岐にわたる原因が考えられます。

「なぜ痒がるのか」
「どんな痒みが危険なのか」
「今すぐ病院に行くべきか」
「家でできることは何か」

といった飼い主さんの疑問に答える他
・痒みと行動学の関連
・皮膚のバリア機能の重要性
など、多角的な視点から「犬の痒み」を徹底解剖します。

愛犬の快適な生活を守るため、ぜひ最後までお読みください。

1. なぜ犬は痒がるのか?痒みのメカニズムと皮膚の役割

犬の痒みは
▶皮膚にある痒みを感じる神経が
刺激されることで起こります。
皮膚は
・外部からの刺激
・病原体
から体を守る
バリア機能
を担う重要な臓器です。
このバリア機能が何らかの原因で損なわれると、痒みが生じやすくなります。

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「痒み」は皮膚のSOSサイン

痒みは、痛みと同様に、体にとって不快な刺激を知らせる防御反応の一つです。
皮膚の
・表面
だけでなく
深層の神経
も痒みに関与しています。
そのため皮膚の状態が正常に見えても痒がることもあります。
慢性的な痒み
=犬にとって非常に大きなストレス
・不眠
・食欲不振
・問題行動
に繋がることもあります。

2. その痒み、緊急?様子見?【緊急度チェックリスト】

愛犬が体を痒がっている時
▶まずは落ち着いて
▶以下の項目をチェック
▶緊急度を判断しましょう。

□痒みの程度

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・掻きむしって眠れない
・食事中に掻く
・常に掻いている
・皮膚が赤く腫れている
・出血している

✓緊急度:中
(数日中に受診)
・頻繁に掻くが眠れる
・頻繁に掻くが食事はとれる
・皮膚に軽度の赤みがある

✓ 緊急度:低
(自宅で様子見・定期的なケア)

・時々掻く程度
・特定の場所だけ掻く
・痒みが一時的 |

□皮膚の状態

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・皮膚が赤く腫れて熱を持っている
・膿が出ている
・皮膚がただれている
・脱毛が広範囲に及ぶ

✓緊急度:中
(数日中に受診)
・軽度の赤み
・フケが多い
・脂っぽい
・部分的な脱毛
・皮膚が厚くなっている

✓ 緊急度:低
(自宅で様子見・定期的なケア)
・皮膚に目立った異常はない
・少し乾燥している程度

□他の症状

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・元気がない
・食欲不振
・発熱
・嘔吐
・下痢
・痛み
・悪臭がある
・リンパ節の腫れ

✓緊急度:中
(数日中に受診)
・少し元気がない
・食欲が落ちている
・患部を舐め続けている
・患部を噛んでいる

✓ 緊急度:低
(自宅で様子見・定期的なケア)
・特になし、普段通り元気

□発生部位

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・顔(目周り、口周り)
・耳
・足先
・指の間
・肛門周囲
・全身

✓緊急度:中
(数日中に受診)
・脇
・股
・お腹
・背中

✓ 緊急度:低
(自宅で様子見・定期的なケア)
・特定の部位のみ
(例:首輪の擦れ、部分的な乾燥)

□痒みの期間

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・数時間〜数日で急激に悪化した

✓緊急度:中
(数日中に受診)
・数週間〜数ヶ月単位で続いている
・季節性がある

✓ 緊急度:低
(自宅で様子見・定期的なケア)
・一時的なもの、数日で改善した

重度の痒みは「痛み」と同じ!

痒みがひどく
・眠れない
・食事もままならない
ほどであれば、それは
「痛み」
と同じくらい犬を苦しめています。
・皮膚に炎症が起こり
・細菌感染を併発している
場合は、急速に悪化することもあります。
特に上記の「緊急度:高」に該当する場合は、ためらわずにすぐに動物病院を受診してください。

3. 痒み・皮膚の様子から予測される病気の種類

・痒みのある部位
・皮膚の状態
・特徴
は原因となる病気を特定する重要な手がかりになります。

●体全体を掻きむしる
 フケが多い
 ブツブツができている

◇予測される病気
・アトピー性皮膚炎
・食物アレルギー
・ノミ・ダニ寄生
・疥癬(かいせん)
※ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる感染症
・脂漏症
※皮脂の分泌が盛んな部位に発生する
・湿疹/炎症/皮膚の異常な角化
などを指す病態

◇特徴
全身的な痒みを伴い
・皮膚の赤み
・フケ
・脱毛
が見られます。

◇アトピー性皮膚炎は
「遺伝的素因」
が強く、体質的なもの。
治療は
・痒みをコントロール
・皮膚のバリア機能を維持すること

が中心になります。
耳/顔/脇/股/足先など
特定の部位に痒みが出やすい傾向。

◇食物アレルギーは
特定の食物成分が原因。
皮膚症状だけで判断するのは難しく、除去食試験が必要です。

●特定の部位を掻きむしる
 赤く腫れている
 熱を持っている
 膿が出ている

◇予測される病気
・膿皮症
※皮膚の細菌感染から炎症や化膿
・マラセチア皮膚炎
※皮膚に常在する真菌の一種であるマラセチアの過剰増殖から炎症
・接触性皮膚炎
※皮膚に触れた物質の刺激やアレルギー反応によって炎症
・毛包炎
※毛根を包む毛包が細菌感染で炎症
・ホットスポット
※皮膚が急激に炎症
▶強いかゆみや痛み&化膿を伴う症状

◇特徴
皮膚に炎症が起こり
・赤み
・腫れ
・熱感
・痛み
・膿
・悪臭
などを伴います。
ホットスポット急速に悪化し、広範囲にわたって皮膚がただれることも。

◇ホットスポットは
犬が舐め続けることで悪化する
「舐性皮膚炎」
の一種でもあります。
▶痒いから舐める
▶舐めるからさらに炎症が悪化する
という悪循環に陥りやすいです。
・根本原因の特定
と同時に、エリザベスカラーなどで
・舐める行動を物理的に制限
することも重要です。

●耳を頻繁に掻く/振る
 耳の中が赤い/臭い
 黒い耳垢

◇予測される病気
・外耳炎
 ・細菌性
 ・真菌性(マラセチア)
 ・耳ダニ

◇特徴
耳の痒みが強く
・赤み
・腫れ
・悪臭のある耳垢
が見られます。
耳ダニの場合は黒い乾燥した耳垢が特徴的

◇外耳炎は
アレルギー性皮膚炎の症状の一部
として起こることが非常に多いです。
=根本のアレルギーを治療しなければ
▶外耳炎を繰り返す傾向があります。

垂れ耳の犬種
=通気性が悪いため
▶特に外耳炎になりやすいです。

●肛門周囲を舐める
 お尻を擦りつける
 便秘

◇予測される病気
・肛門腺炎/肛門嚢炎
※肛門の左右にある肛門腺の炎症
・寄生虫(条虫など)
・食物アレルギー
・消化器疾患

◇特徴
お尻の痒みが強く
・お尻を床に擦りつける(お尻歩き)
・舐め続ける
などの行動が見られます

◇肛門腺の定期的なケア
を怠ると
▶分泌物が詰まって炎症
▶痒みや痛みに繋がります。
自分で絞れない場合は、獣医やトリマーに定期的に処置してもらいましょう。

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●足先や指の間を舐める/噛む
 足先が赤くなっている

◇予測される病気
・アトピー性皮膚炎
・食物アレルギー
・指間炎
※指の間の皮膚の炎症
・皮膚糸状菌症
※カビが原因で皮膚に感染「人獣共通感染症」
・肉球の炎症

◇特徴
足先の痒みが強く、舐め続けることで
・炎症
・脱毛
が起こります。

◇足先の舐めすぎ
肉球と指の間の皮膚が常に湿った状態
▶マラセチアや細菌の増殖を招きやすい
・散歩後の足拭きを徹底
・しっかりと乾燥させる

ことが重要です。
散歩中の怪我にも注意しましょう

4. 併発症状から予測される病気

痒みに加えて、他の症状が見られる場合は、より具体的な病気を推測できます。

●痒み+元気がない/食欲不振/発熱

◇予測される病気
・重度の感染症(細菌性、真菌性)
・全身性の炎症性疾患
・自己免疫疾患など

◇これらの全身症状は
単なる皮膚病を超えた、より重篤な病気が背景にある可能性を示唆しています。

●痒み+脱毛が広範囲/左右対称

◇予測される病気
・甲状腺機能低下症
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
 などのホルモン疾患
・精神的なストレスによる舐めすぎ

◇ホルモン疾患による脱毛は
痒みを伴わないことが多いです。
しかし二次的な皮膚炎を併発すると痒みが出ることもあります。
左右対称の脱毛は、ホルモン疾患の典型的なサインの一つです。

●痒み+下痢/嘔吐

◇予測される病気
・食物アレルギー
・寄生虫(消化管内寄生虫)
・全身性の感染症

◇皮膚と消化器は
密接に関連しています。
・アレルギー
・炎症
が全身に及ぶと両方の症状が出ることがあります。

●痒み+咳/くしゃみ/鼻水

◇予測される病気
・環境アレルギー
(花粉、ハウスダストなど)
・アレルギー性気管支炎

◇人間と同様に
犬もアレルギー反応が
・皮膚だけでなく
・呼吸器
にも現れることがあります。

5. 愛犬が痒がる!その場でできる応急処置と対策

・緊急性が低いと判断された場合
・病院に行くまでの応急処置として
以下のことを試みましょう。

●掻かせない工夫
・エリザベスカラー
・服

◇掻きむしりや舐めすぎによる悪化を防ぐ
・エリザベスカラーの装着
・患部を覆う犬用ウェア(Tシャツなど)
を着せることを検討しましょう。

◇特に夜間や留守番中
目が届かない時間に掻き壊すのを防ぐのに有効です。

●患部を清潔に保つ

◇掻き壊してジュクジュクしている
清潔なガーゼやコットンで優しく拭き取り、乾燥させましょう。

◇刺激の少ない生理食塩水で拭き取るのがおすすめです。
自己判断で人間用の
・消毒薬
・軟膏
を塗布するのは避けましょう。

※生理食塩水
体液と浸透圧が同じ0.9%の食塩水
●作り方
沸騰したお湯500mlに4.5gの塩(小さじ1杯弱)を溶かし、40℃くらいまで冷ます

●クールダウン

◇一時しのぎではあります
・炎症を起こして
・熱を持っている部位
に清潔なタオルで包んだ保冷剤などを短時間当てて一時的に痒みを和らげる。

◇冷やしすぎ注意
逆効果になることもあるので
▶数分程度にとどめ
▶犬が嫌がるようならすぐに中止。

●ブラッシングとシャンプーの見直し

◇ブラッシング
・適切な頻度で行い
・抜け毛やフケを取り除き
・皮膚の通気性を保つ

◇シャンプー
・皮膚に優しい低刺激性の犬用シャンプー
を使用し
・適切な頻度で
洗いましょう
※ただし、痒みがひどい場合はシャンプーが刺激になることもあるため、獣医と相談
シャンプー後は
しっかりと乾かすこと
が重要です

◇シャンプーの目的は
・汚れを落とす
だけでなく
・皮膚の余分な皮脂
・アレルゲン

を洗い流すことにもあります。
ただし、洗いすぎは
皮膚のバリア機能を損ねる
可能性があるので注意が必要です。

6. 痒みを防ぐための長期的な対策と予防

日頃からのケアで
・痒みのリスクを減らしたり
・早期発見に繋げたり
することができます。

●ノミ・ダニ対策の徹底

◇ノミ・ダニは
痒みの最も一般的な原因
の一つです。
年間を通して、獣医が推奨する予防薬(内服薬、スポット剤など)を定期的に使用しましょう。

◇家の中に
・ノミ
・ダニ
が潜んでいる可能性もあります。
ペットの予防だけでなく、室内の清掃も重要です。

●食事管理とアレルギー対策

◇バランスの取れた高品質なフードを選ぶ
特定の食材にアレルギーがある場合
▶除去食試験を行い
▶アレルゲンを特定した上で
▶適切な療法食に切り替える

◇食物アレルギーの症状は
皮膚だけでなく
・消化器(下痢、嘔吐)
・呼吸器(咳)
にも現れることがあります。

●皮膚のバリア機能の維持

◇栄養面からのケア
こちらで詳しく説明しています▼

◇保湿ケア
・乾燥する季節
・乾燥しやすい犬種

※例
・柴犬
・シーズー
・ゴールデンレトリバー
・フレンチブルドッグ
・トイプードル
・ウェスティ
・チワワ
・ミニチュアピンシャー
・コッカースパニエル

には保湿剤の使用を検討しましょう。

◇適切なシャンプー
皮膚の状態に合ったシャンプーを選び
・洗いすぎず
・しっかり洗い流し
・完全に乾かす

ことが重要です。

◇皮膚のバリア機能は
・セラミドなどの脂質
・水分
で構成されています。
これらが不足すると
▶アレルゲンや細菌が侵入しやすくなる
▶痒みや炎症を引き起こす。

●環境アレルゲン対策

◇原因の除去
・ハウスダスト
・花粉
・カビ
などが原因で痒みが起こることもあります。
・こまめな掃除
・空気清浄機の利用
・寝具の清潔保持など

アレルゲンを減らす工夫をしましょう。

◇犬がよく寝る場所
・ベッド
・ソファなど
は人間よりも
・ハウスダスト
・ダニ
が溜まりやすい傾向があります。
定期的に
・洗濯する
・ダニ対策グッズを利用する
など対策しましょう。

●定期的な健康チェック

◇年に1〜2回の健康診断で
・皮膚の状態を含め
・全身のチェック
を受けましょう。
早期に異常を発見
▶治療を開始することができます。

7. 知っておきたい!犬の痒みに関する豆知識

●「痒み」と「痛み」の境界線
慢性的な痒み
は、犬にとって
・痛みと同じくらい
あるいは
・それ以上に
苦痛を伴います。
痒みが精神的なストレスとなり
・自傷行為
・攻撃性
・引きこもりなど
問題行動を引き起こすこともあります。

●「舐めグセ」は痒みのサインかも
犬が特定の場所を執拗に舐め続けるのは
・痒み
・痛み

のサインであることがほとんどです。
「癖だから」と見過ごさず、その部位をよく観察し、獣医に相談しましょう。

●心理的要因が痒みに影響する可能性
ストレスや不安が
・痒みを悪化させたり
精神的な要因で皮膚を舐め壊す
・心因性脱毛
を引き起こすことがあります。
・環境の変化
・飼い主さんとの関係性
も痒みの原因となることがあります。

●季節性と痒み
・アトピー性皮膚炎
・花粉症など
季節によって痒みが強くなる皮膚病も。
特定の季節に痒がる場合は、季節性アレルギーを疑いましょう。

※犬の季節性のかゆみの傾向
●春~初夏
・花粉(スギ、イネ科)
・黄砂
・ノミ・ダニの活動開始
●夏~秋
・ダニ
・ノミ
・カビ
・ブタクサなどの草花粉
●冬
・乾燥による皮膚バリア機能低下
・暖房による乾燥悪化

特に
耳/脇/股/指の間/口・目の周り
に強いかゆみが出やすいです。

●皮膚科専門医という選択肢
慢性的な皮膚病の場合
一般の動物病院ではなかなか改善が見られないこともあります。
その時は
動物皮膚科専門医
を受診するのも一つの選択肢。
より
・専門的な診断
・治療
を受けられます。

まとめ:愛犬の痒みは、皮膚からのSOS。見極めと継続的なケアが鍵

愛犬の痒みは、単なる皮膚のトラブルではないかもしれません。
・痒みの程度
・皮膚の状態
・併発する症状
そして
愛犬の普段の様子
総合的に判断し、適切な対応をとることが何よりも重要です。

もし少しでも
「おかしい」
と感じたら、迷わず動物病院を受診してください。
・早期に原因を特定し
・治療を開始する

ことこそが
・愛犬を痒みから解放し
・快適な生活を送らせてあげる

ことに繋がります。
この記事が、愛犬との健やかな生活の一助となれば幸いです。

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