【飼い主必見】痛みなし!犬の健康を守るエコー検査(超音波検査)まるわかりガイド

犬の健康

超音波(エコー)検査ってどんなん?

愛犬が最近、少し元気がない。
でも、どこが悪いのか?
もちろん言葉では教えてくれない…。
そんなとき、もし愛犬の体の中をそっとのぞける、秘密道具があったら?
まるで魔法のように
・痛みも負担もなく
・体の奥で起きていることがわかる
・優しい検査

それが超音波検査なのです。
このガイドでは
・その不思議な検査の仕組み
・隠れた病気のサインなど
飼い主さんが知っておくべき大切なことを、一緒に見ていきましょう。

超音波検査の仕組みといいところ

超音波検査は、人間でもよく使われる画像診断の方法です。
プローブという器具から
▶超音波を体内に送り込み
・臓器
・組織
に当たって跳ね返ってきた
波(エコー)
を映像として映し出します 。
この映像は白と黒の濃淡で表現され
・硬いものや反射が強いものは白く
・液体など反射が弱いものは黒く

映ります 。  

この検査のいいところは、なにより
愛犬にやさしいことです。
・レントゲン
・CT
と違って放射線を使わないので
体に負担が少なく
とても安全です。
・痛み
・ストレス
もほとんどないので、多くの場合、
麻酔なし
で検査ができます 。
特に
心臓に持病がある愛犬にとって、麻酔が不要なのは大きなメリットです。
また
・臓器
・心臓
の動きをその場で
リアルタイムに見ることができる
ので、急な体調不良の時でも、すぐに原因を突き止めるのに役立ちます 。  

検査する場所で役割が違います

超音波検査は、主にプローブを当てる場所によって、大きく2つの種類に分けられます 。  

胸部(心臓)超音波検査

心臓の
・大きさや
・壁の厚さ
・弁の動き
・血液の流れ
などを詳しく調べます 。
カラードップラーという機能を使うと
※プローブに向かう血流は赤、遠ざかる血流は青で示され、色の明るさで血流の速さを表現
▶血液の流れを色で見て
▶逆流や乱れがないか?
を確認することもできます 。  

腹部超音波検査

・肝臓
・胆のう
・腎臓
・膀胱
・脾臓
・胃
・腸など
お腹の中にある大切な臓器
・形
・大きさ
・内部の状態
・動き

そして
・お腹に水が溜まっていないか?
・しこり(腫瘍)がないか?

などをチェックします 。  

他の検査と組み合わせることで真価を発揮

超音波検査は
単体でも素晴らしい検査です。
しかし
他の検査と組み合わせる
ことで、さらに正確な診断ができるようになります。
それは、いろんな検査には
それぞれ得意なこと
があるからです 。
・超音波検査は
臓器の形や動きの異常を見つけ
血液検査は
体内の「状態」を数値化
・レントゲン検査は
臓器や骨の全体的な位置関係の把握
がそれぞれできます  

例えば、血液検査
肝臓の異常を示す数値
(ALPやALT)
が高かったとします 。
これだけでは何が原因かはわかりません
そこで超音波検査をすると
・肝臓に腫瘍が見つかったり
・胆のうの中に胆泥が溜まってたり
するのが見えたりするのです。
また
レントゲンで心臓が大きく見えても
超音波検査をしないと
・心臓の筋肉が厚くなったせいなのか?
・心臓の部屋が広がったせいなのか?
といった詳しい
「内部の構造」
「動き」
まではわからないのです 。  

このように
複数の検査を組み合わせることで
▶多角的に情報を集めることができ
・病気の見落としを防ぎ
・より正確な病気の状態を把握し
・適切な治療方針を決めること
が可能になります。
超音波検査は、他の検査で
何か怪しいところが見つかったときに
▶さらに深く掘り下げて調べるための「精密検査」という役割も担っているのです 。  

胸部の超音波検査でわかる心臓の病気

僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)

小型犬にとても多い心臓病で
心臓の中にある僧帽弁が
▶うまく閉じなくなり
▶血液が逆流してしまう
病気です 。  

心臓超音波検査は、この病気の
・診断
・重症度を判断
するのに最も大切な検査です。
超音波で
・弁が変形している様子
・血液が左心房に逆流している様子

をリアルタイムで詳しく見ることができます。
また、逆流によって心臓に
どのくらい負担がかかっているか
を数値を使って客観的に評価します。  

特に、以下の2つの指標が重要です。

●左心房/大動脈径比(LA/Ao比)
・心臓の左心房
・大動脈
という2つの部分の大きさの比率を計算します。
正常な値は
1.6以下
とされていて、これを超える場合は
左心房が少し拡大している
と考えられます 。  

●左心室拡張末期径(LVIDDN)
左心室が
血液で一番いっぱいになったとき
の大きさを測って
▶体の大きさに合わせて補正します。
正常な値は
1.7以下
とされています 。  

これらの数値は
病気の進行具合を知る
ための大切な手がかりとなり
・いつ治療を始めるか
・どんな薬を使うか
そして定期的な経過観察に欠かせない情報となります 。  

拡張型心筋症(DCM)

主に大型犬に多い心臓の病気
心臓の筋肉(心筋)の働きが弱くなり
▶ポンプ機能が低下し
▶心臓の部屋(特に左心室)が大きく広がってしまうのが特徴です 。  

診断には心臓超音波検査が不可欠です。
この検査では
・心臓の部屋が広がっていること
心臓の筋肉の動きが鈍くなって
・ポンプの力が弱くなっている様子
をはっきりと確認できます。
この時、左心房も拡大
本来なら同じくらいの大きさである
・大動脈
・左心房
のバランスが崩れることも観察されます 。  

その他の心臓・胸部の病気

超音波検査は、これ以外にも多くの
・心臓
・胸
の病気の診断に役立ちます。

●肥大型心筋症
肥大型心筋症では
心臓の筋肉が厚くなっている
のが見つかります。

●犬糸状虫症(フィラリア症)
フィラリア症の場合は
心臓の中にいる寄生虫
を直接確認することができます 。  

●先天性心臓病
生まれつきの心臓病
・心臓に穴が開いている
・血管の異常など

についても
・心臓の部屋の構造
・通常とは違う血液の流れ

を評価できます 。  

●胸水
肺炎が進行して
胸に水が溜まっている場合
も超音波で素早く診断できます 。  

これらの心臓病は
初期にはほとんど症状が出ない
ことが多いため
・定期的な超音波検査で
・早めに異常を見つけること

が、とても大切になります 。  

腹部の超音波検査でわかる内臓の病気

肝臓・胆のう・膵臓の病気

●肝臓の異常

超音波検査は、肝臓の内部
・構造
・異常
を調べるのにとても有効です。
肝臓に
・しこり(腫瘍)
・脂肪肝
・肝硬変

などの病変がないかを見つけられます。
また、肝臓が腫れている場合は
正常なら尖っている肝臓のふちが
丸く鈍くなっているのが見えます。
血液検査で肝臓の数値が高かったときに
▶超音波検査で肝臓の詳しい状態を調べる
ことは、正確な診断に欠かせないステップです 。  

●胆嚢の異常

胆のうの内部を調べるのも、超音波検査の大切な役割です。
胆汁が泥状に固まって
▶胆のうの中に溜まる
胆泥が見つかることがあります。
超音波の映像では
・通常は真っ黒な胆のうの中に
・白い泥のようなもの
が映し出されます。
また、胆汁がゼリー状に固まってしまう
胆嚢粘液嚢腫
はまるで
「キウイフルーツ」
のように見える特徴的な映像として認識されます 。  

ここで大切なのは
「胆泥があること」と
「胆泥症」

違う病気だということです。
胆泥が見つかっただけでは病気とは言えず
・嘔吐
・食欲不振

などの症状や、血液検査で
・ALP値などの異常
が確認されて初めて
「胆泥症」と診断されます。
超音波検査はあくまで
「所見」を見つける検査
であり、他の検査や症状と合わせて
総合的に判断することが大切です。  

●膵炎

膵炎の診断にも、超音波検査はとても役立ちます。
・膵臓が腫れている様子
その周りの脂肪組織が白く明るく映る
・炎症の様子
を捉えることができます。
膵炎は、血液検査で
リパーゼの数値が高い
ことと合わせて診断されます 。  

消化器系の病気

●炎症性腸疾患(IBD)

IBDは
・慢性的な嘔吐や下痢
・体重減少
などを引き起こす病気で、超音波検査では
腸の壁が全体的に均一に厚くなっている
のが代表的な所見です。
重症の場合は
お腹の中に水が溜まる
こともあります。
この病気をはっきり診断するには
麻酔をして
・内視鏡検査
・組織の検査(生検)

が必要になります。
超音波検査は、麻酔をかけず診断のヒントを得るための最初の検査としてとても役立ちます 。  

●消化管腫瘍(リンパ腫・腺癌)

腸にしこり(腫瘍)がある場合
超音波の映像に
特徴的なパターンが現れます。
腸の壁が全体的に同じように厚い
場合は
・IBD
・悪性度が低いリンパ腫
が疑われることが多いです。
一方
・壁の一部がでこぼこと不規則に厚い
・層の構造が見えなくなっている
・大きなしこりを形成している

場合は
・悪性度が高いリンパ腫
・腺癌
が疑われることが多いです 。  

●消化管閉塞・異物

消化管が詰まってしまう病気=閉塞
の診断には、超音波検査が非常に重要です。
・飲み込んでしまった異物
そのものが映像で確認できることもあります。
しかし、それ以上に大切なのは
・異物が腸を内側から広げている様子
・異物の手前にお腹の中の液体が大量に溜まっている様子

を見つけることで
腸が機能しなくなっていることを診断できるです。
異物の種類によっては、レントゲン検査などと組み合わせて診断の精度を高めることがおすすめです 。  

泌尿器・生殖器系の病気

●腎臓・膀胱の異常

超音波検査は
・腎臓の内部にある袋=嚢胞
・結石
・腫瘍

などの病変を評価するのに優れています。
膀胱の中にある
・結石
・腫瘍
・ポリープの有無
も詳しく確認できます。
尿路結石はレントゲンでも見つかりますが
超音波検査では
・結石の数や大きさ
・尿路が広がっていないか?
など
より詳しい情報を知ることができます 。  

●子宮蓄膿症

避妊手術をしていない
高齢のメス犬によく見られる病気です。
健康な子宮
▶超音波で見つけるのが難しいです。
しかし子宮蓄膿症になると
▶子宮が異常に広がり
▶中に膿が溜まっている
様子がはっきりと映し出されます 。  

●前立腺肥大

去勢をしていない
高齢のオス犬によく見られる病気で
尿や便が出にくくなることがあります。
超音波検査では
・前立腺の大きさや形
・内部の様子
を詳しく調べることができ
・肥大の程度
・腫瘍がないか
を確認します。  

脾臓とお腹の中のその他の病気

●脾臓腫瘍

脾臓
腫瘍の兆候が見られることが多い
ため定期的な検査がおすすめです。
超音波検査は、脾臓の
・腫れやしこり
・内出血
を素早く診断するのに役立ちます 。  

●腹水

お腹の中に異常な液体が溜まっている
場合も、超音波ですぐに診断できます。
さらに、腹水の原因
・感染症
・腫瘍
・心臓病など
を探るためのヒントを得ることができます。  

超音波検査が特に役立つのはどんな時?

症状があるときの原因探し

超音波検査は
犬に具体的な症状が見られる
ときに、その原因を突き止めるための重要な手がかりになります。
例えば
・嘔吐、下痢
・食欲不振
・お腹の膨らみ
・体重減少
・おしっこが出にくい
などの症状は、内臓の異常が原因かも。
このような場合
▶超音波検査をすることで
・胃腸炎
・腸閉塞
・膵炎
・胆のうの病気
・しこり(腫瘍)など
さまざまな病気の可能性を評価できます 。  

緊急事態の素早い対応

・お腹の激しい痛み
・呼吸が苦しいなど
命に関わるような緊急事態
が起きたとき、超音波検査はとても頼りになります。
・内出血
・臓器の破裂
・腸閉塞
などの状態を
・短時間で
・その場で確認できる

ので素早く治療や手術の準備を始めることができ
愛犬の命を救うことにもつながります。  

症状がないうちの早期発見

多くの病気、特に
・心臓病
・腫瘍

は病気の初期にはほとんど症状が出ません。
飼い主さんが愛犬の異変に気づいたときには
すでに病気がかなり進行してしまっている
ことも少なくありません 。  

超音波検査の最大の利点は、このように
症状がない段階で異常を見つけられる
ことです。
特にシニア期(7歳以上)の愛犬は
心臓病や腫瘍のリスクが高まる
ため
年に1〜2回の定期的な超音波検査
が推奨されています。
小さな腫瘍でも早めに見つかれば
▶手術が成功する可能性が高まります。
また、軽度な心臓病でも
▶早めに治療を始めることで
▶病気の進行を遅らせることができ
結果的に
・愛犬の生活の質を守り
・治療費の負担を抑える
ことにもつながります 。  

妊娠しているかの確認にも

愛犬が妊娠したかどうか?
を調べるときには
交配から25〜30日後以降
に超音波検査を行うことで
お腹の中の赤ちゃんの
・状態
・頭数
を確認できます 。  

最後に:超音波検査を上手に活用するために

検査のメリットと飼い主さんの協力

超音波検査は
・負担が少なく
・安全で
・すぐに結果がわかる

というメリットから
愛犬の健康管理に欠かせない
ツールです。
ただし、検査の正確さは
・検査をする獣医師の経験
・使う機器の性能
によって変わってくることがあります。
このことも、信頼できる動物病院を選ぶときのヒントになるかもしれません。  

検査を受けるにあたって
お腹の検査では
食べ物が臓器を観察する邪魔
になることがあるため
検査前に食事をさせない
ことが推奨されます。
また
検査する場所の毛を刈る
ことも、より鮮明な画像を得るために必要な処置です。
こうした協力が、より正確な診断へとつながります。  

獣医師さんと一緒に、継続的な健康管理を

超音波検査で異常が見つかったとしても
それだけで病名が確定するわけではない
ことが多く、例えば
腫瘍が悪性か良性か?
を判断するには
・組織の検査(生検)
・CT・MRI

といった追加の検査が必要になることも。  

超音波検査は
・愛犬の健康を総合的に評価し
・病気の早期発見と
・適切な治療方針を決める
上で、なくてはならないものです。
飼い主さんには
・愛犬のわずかな変化にも気づいてあげ
・定期的な健康診断の大切さを理解する
ことが求められます。
そして、獣医師さんと手を取り合い
この素晴らしい診断方法
を最大限に活用することで、愛犬の
・健康で
・幸せな

生活を守ることにつながります。  

コメント

タイトルとURLをコピーしました