愛犬の血液検査
結果の数値を見ても

これってどういう意味…?
と不安になることはありませんか?
このチェックシートは
主要な血液検査項目について
数値が
・高い場合
・低い場合
にどんな原因が考えられるのか?
を簡単に確認できるツールです。
あくまで一般的な情報提供であり
・自己判断はせず
・必ず獣医師の診断と指示に従ってください。
この情報が、愛犬の健康状態を理解し、獣医師とのコミュニケーションを深めるための一助となれば幸いです。
赤血球関連の検査
1. 赤血球数 (RBC)
高値で考えられること:
- 病気: 多血症(真性、相対性)、心臓病や肺疾患(低酸素状態への代償反応)
- 栄養状態/その他: 脱水(血液が濃縮)
- 一時的要因: 興奮やストレス(特に犬で顕著)
- 薬剤の影響: エリスロポエチン製剤の投与
低値で考えられること:
- 病気: 各種貧血(鉄欠乏性、再生不良性、溶血性、出血性)、腎不全(エリスロポエチン産生低下)、慢性炎症、腫瘍
- 栄養状態: 栄養不良(タンパク質、鉄、ビタミンB群などの不足)
- 採血・輸送時: 溶血(見かけ上低値)
- 薬剤の影響: 一部の抗がん剤、免疫抑制剤、エストロゲン製剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用による消化管出血など
2. ヘモグロビン濃度 (HGB)
高値で考えられること:
- RBC(赤血球数)とほぼ同様の傾向を示します。
- 脱水、多血症など。
低値で考えられること:
- RBC(赤血球数)とほぼ同様の傾向を示します。
- 各種貧血など。歯茎や舌の色が白っぽく見えることがあります。
3. ヘマトクリット値 (HCT, PCV)
高値で考えられること:
- RBC(赤血球数)とほぼ同様の傾向を示します。
- 特に脱水状態の把握に有用。
- 犬種差(例:グレイハウンドは高め)あり。
低値で考えられること:
- RBC(赤血球数)とほぼ同様の傾向を示します。
- 各種貧血など。
- 若齢犬はやや低め傾向。
4. 網状赤血球数 (Retic)
高値で考えられること (貧血時):
- 病気: 骨髄が活発に赤血球を作っている状態(再生性貧血)。出血性貧血や溶血性貧血。
- 治療効果: 鉄剤やビタミン剤の投与が効果を発揮し、造血が促されている場合。
- ポイント: 貧血時にこの数値が上昇していれば、骨髄機能が保たれている可能性。
低値で考えられること:
- 貧血がない場合: 正常。
- 貧血時に低い場合: 骨髄での赤血球産生能力の低下(非再生性貧血)。再生不良性貧血、腎性貧血、慢性疾患に伴う貧血など。より深刻な状態の可能性。
白血球関連の検査
5. 白血球数 (WBC)
高値で考えられること:
- 病気: 細菌やウイルス感染症、炎症性疾患(膵炎、肺炎など)、腫瘍(白血病など)、免疫介在性疾患、組織の壊死
- その他: ストレス、興奮(一時的に2倍近くまで上昇することも)、妊娠後期
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤、アドレナリン
低値で考えられること:
- 病気: ウイルス感染症(パルボウイルス感染症など)、重度の細菌感染症(敗血症末期)、骨髄抑制(薬剤、放射線、腫瘍など)、免疫介在性疾患(白血球に対する自己抗体)
- 薬剤の影響: 一部の抗がん剤、免疫抑制剤、一部の抗生物質(長期・大量使用時)
- 注意: 極端に低い場合は感染への抵抗力が著しく低下し危険な状態。
6. 白血球分画 (Differential)
白血球の内訳。各項目の増減で体の状態をより詳細に推測します。ストレスパターン(好中球↑、リンパ球↓、好酸球↓、単球↑)も考慮されます。
好中球 (Neutrophils)
- 細菌感染、急性炎症、ストレス、ステロイド投与。未熟な好中球の増加(左方移動)は重度の炎症や感染を示唆。
- 重症感染症(消費亢進)、骨髄抑制、一部のウイルス感染。
リンパ球 (Lymphocytes)
- ウイルス感染の回復期、慢性炎症、リンパ系腫瘍、ワクチン接種後(一時的)、アジソン病。
- ウイルス感染初期、ストレス、ステロイド投与、免疫不全、リンパ管拡張症。ストレスで特徴的に減少しやすい。
単球 (Monocytes)
- 慢性炎症、組織壊死、免疫介在性疾患、肉芽腫性疾患、ストレス、ステロイド投与。
- 単球の低値が単独で問題となることは稀です。
好酸球 (Eosinophils)
- アレルギー性疾患、寄生虫感染、アジソン病、一部の腫瘍。
- ストレス、ステロイド投与。
好塩基球 (Basophils)
- 重度のアレルギー反応、寄生虫感染、甲状腺機能低下症。通常、好酸球と連動することが多い。
- 好塩基球の低値が単独で問題となることは稀です。
血小板関連の検査
7. 血小板数 (PLT)
高値で考えられること:
- 病気: 炎症、鉄欠乏性貧血、一部の腫瘍、手術後、脾臓摘出後
- その他: 本態性血小板血症(稀)
- 反応性: 慢性的な炎症や出血で骨髄が過剰産生。
低値で考えられること:
- 病気: 免疫介在性血小板減少症(IMT)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、骨髄抑制、脾機能亢進、感染症(リケッチアなど)、薬剤性
- 偽性低値: 採血時の凝固(よくある)、犬種特有の巨大血小板症(キャバリアなど)
- 注意: 極端な減少(例: 5万/μL以下)で自然出血リスク。
タンパク質関連の検査
8. 総タンパク (TP)
高値で考えられること:
- 病気: 慢性炎症、感染症、免疫介在性疾患、一部の腫瘍(多発性骨髄腫など)
- その他: 脱水(相対的増加)、高タンパク食(軽度)
低値で考えられること:
- 病気: 肝不全(合成低下)、腎不全(タンパク尿)、消化管疾患(タンパク漏出性腸症、吸収不良)、出血、重度の火傷
- 栄養状態: 低栄養、飢餓
- 注意: 脱水と低栄養が併発すると正常値に見えることも。
9. アルブミン (ALB)
高値で考えられること:
- 主な要因: 脱水(相対的増加)。単独で病的に高値は稀。
低値で考えられること:
- 病気: 肝不全(合成低下)、腎疾患(タンパク尿)、タンパク漏出性腸症、出血、慢性炎症(合成抑制)
- 栄養状態: 栄養失調
- 薬剤の影響: 長期的なステロイド投与(合成抑制の可能性)
- 症状: 著減で腹水、胸水、浮腫の原因に。
10. グロブリン (GLOB)
高値で考えられること:
- 病気: 慢性炎症、感染症、免疫介在性疾患、一部の腫瘍(多発性骨髄腫、リンパ腫など)、肝疾患(慢性肝炎など)
- 詳細検査: 血清タンパク電気泳動でどのグロブリンが増加しているか特定可能。
低値で考えられること:
- 病気: 免疫不全(先天性、後天性)、重度のタンパク喪失(タンパク漏出性腸症、重度の火傷など)
11. A/G比 (アルブミン/グロブリン比)
高値で考えられること:
- グロブリンの産生低下(免疫不全など)。単独での意義は少ない。
低値で考えられること:
- アルブミンの低下(肝不全、腎疾患、タンパク漏出性腸症など)
- グロブリンの増加(慢性炎症、感染症、多発性骨髄腫など)
- またはその両方。特定の慢性疾患や腫瘍を示唆することも。
肝臓関連の検査
12. アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT, GPT)
高値で考えられること:
- 病気: 急性・慢性肝炎、肝硬変、肝臓腫瘍、中毒性肝障害、うっ血性心不全、クッシング症候群
- その他: 激しい運動後(軽度)、一部薬剤投与
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤、一部抗てんかん薬、一部NSAIDs、アセトアミノフェン(犬には禁忌)
- 注意: サプリメントでも体質により影響の可能性。
- ALTの低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
13. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST, GOT)
高値で考えられること:
- 病気: 肝疾患(ALTと同様)、心筋梗塞(犬では稀)、筋肉疾患(筋炎、外傷)、溶血
- 鑑別: AST単独上昇は肝臓以外(筋肉、赤血球)の障害も考慮。CKと合わせて評価。
- 薬剤の影響: ALTと同様。
- ASTの低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
14. アルカリフォスファターゼ (ALP)
高値で考えられること:
- 病気: 胆汁うっ滞、肝細胞癌、クッシング症候群、甲状腺機能低下症、糖尿病、骨疾患
- 生理的要因: 成長期の若齢犬(骨由来)、妊娠後期(胎盤由来)
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤(著増)、一部抗てんかん薬
- 犬種特異性: スコティッシュ・テリア(原因不明の高値)
- ALPの低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
15. γ-グルタミルトランスフェラーゼ (GGT)
高値で考えられること:
- 病気: 胆汁うっ滞、肝細胞癌、膵炎、クッシング症候群
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤(ALPほど顕著ではない)
- その他: 新生子の初乳摂取後
- GGTの低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
16. 総ビリルビン (TBIL)
高値で考えられること (黄疸の原因):
- 肝前性: 溶血性貧血(ビリルビン産生過剰)
- 肝性: 肝細胞障害(肝炎、肝硬変など)
- 肝後性: 胆管閉塞(胆石、腫瘍など)
- 症状: 2-3 mg/dL超で皮膚や粘膜が黄色く見える黄疸が出現。尿の色が濃くなることも。
- 薬剤の影響: 一部の肝毒性のある薬剤。
- 総ビリルビンの低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
17. 総胆汁酸 (TBA)
高値で考えられること (絶食時または食後):
- 病気: 門脈体循環シャント(PSS)、肝硬変、慢性肝炎、胆汁うっ滞、肝細胞癌
- ポイント: 感度の高い肝機能検査。絶食時と食後2時間値で評価。ALT/ALP正常でもTBA高値なら隠れた肝機能障害の可能性。
- 薬剤の影響: ウルソデオキシコール酸(胆汁酸製剤)投与中。
- 総胆汁酸の低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
腎臓関連の検査
18. 尿素窒素 (BUN)
高値で考えられること:
- 病気: 腎不全(急性、慢性)、尿路閉塞、脱水、消化管内出血、心不全(腎血流量低下)
- 栄養状態: 高タンパク食
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤(タンパク異化亢進)
- 評価: 食事、脱水の影響を受けやすい。クレアチニン(CRE)や尿検査と合わせて総合判断。
低値で考えられること:
- 病気: 肝不全(尿素合成能低下)、尿崩症(多尿による希釈)、門脈体循環シャント
- 栄養状態: 低タンパク食、飢餓
- その他: 妊娠、若齢犬(成長期)
19. クレアチニン (CRE)
高値で考えられること:
- 病気: 腎不全(急性、慢性)、尿路閉塞
- その他: 筋肉量の多い犬種(やや高めに出ることがある)
- ポイント: 食事の影響を受けにくいが、腎機能が約75%以上失われないと基準値を超えにくい。筋肉量が少ないと腎機能が悪くても上がりにくいことあり。
低値で考えられること:
- 状態: 筋肉量の著しい減少、若齢犬。通常、臨床的に問題となることは少ない。
- 薬剤の影響: 一部のセフェム系抗生物質が測定値に影響の可能性。
20. 対称性ジメチルアルギニン (SDMA)
高値で考えられること:
- 病気: 急性腎障害、慢性腎臓病
- ポイント: CREより早期(腎機能25-40%低下)に上昇の可能性。慢性腎臓病(CKD)の早期発見に有用。筋肉量の影響を受けにくい。他疾患(甲状腺機能亢進症など)でも上昇の可能性あり。
- SDMAの低値が臨床的に問題となることは通常ありません。
21. リン (P, IP)
高値で考えられること:
- 病気: 腎不全(排泄低下)、副甲状腺機能低下症、ビタミンD過剰症、骨腫瘍、溶血
- その他: 成長期の若齢犬(生理的)、高リン食
- 薬剤の影響: ビタミンD製剤、リン含有サプリメント
- ポイント: 慢性腎臓病では高リン血症が病状を悪化させるため管理が重要。
低値で考えられること:
- 病気: 副甲状腺機能亢進症、ビタミンD欠乏症、インスリン治療中、吸収不良症候群
- 栄養状態: 低リン食
- 薬剤の影響: リン吸着剤、一部の制酸剤、利尿剤
22. カルシウム (Ca)
高値で考えられること:
- 病気: 副甲状腺機能亢進症、一部の腫瘍(リンパ腫などによる偽性副甲状腺機能亢進症)、ビタミンD中毒、アジソン病、骨融解性疾患
- 薬剤の影響: ビタミンD製剤、カルシウム製剤、サイアザイド系利尿薬
- 注意: 重篤な疾患のサイン。アルブミン低値で補正が必要な場合あり。
低値で考えられること:
- 病気: 副甲状腺機能低下症、腎不全(活性型ビタミンD産生低下)、タンパク漏出性腸症(アルブミン低下に伴う)、急性膵炎、産褥テタニー、エチレングリコール中毒
- 薬剤の影響: ループ利尿薬、リン酸塩製剤、一部の抗てんかん薬
- 症状: 痙攣などの神経症状を引き起こすことあり。
膵臓関連の検査
23. アミラーゼ (AMYL)
高値で考えられること:
- 病気: 膵炎(急性、慢性)、膵臓腫瘍、腎不全(排泄低下)、消化管閉塞・穿孔、唾液腺疾患
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤
- 注意: 犬では膵炎への特異性は高くない。腎機能低下でも上昇。
低値で考えられること:
- 通常、臨床的に問題となることは少ない。重度の膵外分泌不全(EPI)で低下の可能性。
24. リパーゼ (LIPA)
高値で考えられること:
- 病気: 膵炎(急性、慢性)、膵臓腫瘍、腎不全(排泄低下)、肝疾患、消化管疾患
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤
- 注意: 犬での膵炎に対する特異性は限定的。ステロイドで上昇しやすい。
低値で考えられること:
- 通常、臨床的に問題となることは少ない。
25. 犬膵特異的リパーゼ (cPLI, Spec cPLなど)
高値で考えられること:
- 病気: 急性膵炎、慢性膵炎
- ポイント: AMYLやLIPAより膵炎診断の特異性と感度が高い。食欲不振、嘔吐、腹痛などあれば測定推奨。画像診断などと総合判断。
低値で考えられること (または正常範囲):
- 膵炎の可能性は低い。
- 薬剤の影響: 直接的影響は少ないが、膵臓に負担をかける薬剤歴は考慮。
電解質関連の検査
26. ナトリウム (Na)
高値で考えられること (高ナトリウム血症):
- 病気: 水分喪失(嘔吐、下痢、尿崩症、熱中症などによる脱水)、ナトリウム過剰摂取(まれ)、高アルドステロン症、クッシング症候群
- 薬剤の影響: 生理食塩水の過剰投与
- 症状: 重度で神経症状(興奮、痙攣など)の可能性。
低値で考えられること (低ナトリウム血症):
- 病気: 嘔吐・下痢による喪失、腎不全、アジソン病、うっ血性心不全、肝硬変、SIADH、過度な水分補給
- 薬剤の影響: 利尿剤(特にサイアザイド系)、一部の抗てんかん薬
- ポイント: アジソン病ではNa/K比が低下。
27. カリウム (K)
高値で考えられること (高カリウム血症):
- 病気: 腎不全(乏尿・無尿期)、アジソン病、尿路閉塞、重度の組織損傷、代謝性アシドーシス
- 偽高値: 採血時の溶血(特に秋田犬、柴犬など日本犬種で顕著)
- 薬剤の影響: カリウム製剤の過剰投与、カリウム保持性利尿薬、ACE阻害薬、NSAIDs
- 注意: 重度で致死的な不整脈の可能性あり、緊急処置が必要。
低値で考えられること (低カリウム血症):
- 病気: 嘔吐・下痢による喪失、腎疾患(多尿期)、インスリン治療、アルカローシス、食欲不振による摂取不足
- 薬剤の影響: ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、インスリン、副腎皮質ステロイド剤
- 症状: 筋力低下、元気消失、多飲多尿、不整脈など。
28. クロール (Cl)
高値で考えられること:
- ナトリウム(Na)と同様の要因、代謝性アシドーシス。
低値で考えられること:
- 嘔吐(胃酸喪失)、利尿剤の使用、代謝性アルカローシス。
- ポイント: 激しい嘔吐で特徴的に低下。
血糖値関連の検査
29. グルコース (GLU, BG)
高値で考えられること (高血糖):
- 病気: 糖尿病、膵炎、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症(犬では稀)、ストレス(犬でも見られる)、敗血症
- その他: 食後、ブドウ糖含有輸液の投与
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤、プロジェステロン製剤、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬
- ポイント: ストレスによる一過性高血糖と持続的高血糖(糖尿病など)の区別が重要。
低値で考えられること (低血糖):
- 病気: インスリノーマ、肝不全、アジソン病、重度の敗血症、飢餓、若齢犬(特に小型犬)の低血糖症、キシリトール中毒
- 薬剤の影響: インスリンの過剰投与、経口血糖降下薬、一部のβ遮断薬
- 注意: 重篤な神経症状(元気消失、ふらつき、痙攣など)の可能性、迅速な対応が必要。
30. フルクトサミン (FRU)
高値で考えられること:
- 病気: 糖尿病(コントロール不良)
- ポイント: 過去1~2週間の平均血糖値を反映。ストレスによる一過性高血糖の影響を受けにくい。糖尿病の診断や治療効果のモニタリングに有用。
低値で考えられること:
- 病気: 持続的な低血糖状態、重度の低アルブミン血症(アルブミンが低いと影響)
- その他: 甲状腺機能亢進症(犬では稀、タンパク代謝亢進のため)
脂質関連の検査
31. コレステロール (CHOL)
高値で考えられること:
- 病気: 甲状腺機能低下症、クッシング症候群、糖尿病、ネフローゼ症候群、胆汁うっ滞、膵炎、遺伝性高脂血症(ミニチュア・シュナウザーなど)
- 栄養状態: 高脂肪食、食後
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤
- ポイント: 甲状腺機能低下症で特徴的に高値。通常12時間絶食後に測定。
低値で考えられること:
- 病気: 肝不全(合成低下)、吸収不良症候群、タンパク漏出性腸症、アジソン病、一部の腫瘍
- 栄養状態: 飢餓
- 薬剤の影響: 一部の脂質降下薬
32. 中性脂肪 (TG, トリグリセリド)
高値で考えられること:
- 病気: 甲状腺機能低下症、クッシング症候群、糖尿病、膵炎、ネフローゼ症候群、遺伝性高脂血症
- 栄養状態: 高脂肪食、食後(顕著に上昇)
- 薬剤の影響: 副腎皮質ステロイド剤
- ポイント: 食後の影響大、必ず絶食後測定。ミニチュア・シュナウザーは遺伝的に高TG血症を起こしやすく膵炎リスク。血液が白濁(乳び)することも。
低値で考えられること:
- 病気: 吸収不良症候群、甲状腺機能亢進症(犬では稀)
- 栄養状態: 飢餓
- 薬剤の影響: オメガ3脂肪酸サプリメント(治療量)
【重要:必ずお読みください】
●基準値はあくまで目安です。
・動物病院
・検査機関
・使用する機器
によって異なります。
必ず、検査を受けた動物病院で示された基準値と照らし合わせてください。
●検査結果の解釈
は総合的に行われます。
一つの項目だけで判断せず
・他の検査項目
・臨床症状
・犬種
・年齢
・過去の検査結果など
を考慮して、獣医師が総合的に診断します。
●ここに記載する情報は
一般的なものであり、愛犬の健康状態について自己判断せず、必ず獣医師の説明を受け、指示に従ってください。
●絶食の重要性
多くの項目
特に
・血糖値
・脂質
・総胆汁酸など
は食後に変動します。
正確な評価のためには
通常8~12時間の絶食
が必要です。
獣医師の指示に従ってください。
水は与えても構いません。
●ストレスや犬種差、年齢
・採血時のストレス
・犬種特有の体質
・年齢(成長期や高齢期)
によっても検査値は変動することがあります。
●継続的なデータの比較
一度の結果だけでなく
▶過去の検査結果と比較して
▶変化の傾向を見ること
が
・病気の早期発見
・状態把握
には非常に重要です。
●服用中の薬やサプリメント
検査値に影響を与える可能性あり。
必ず事前に獣医師に伝えましょう。
このチェックシートが、飼い主さんと獣医師とのコミュニケーションをより円滑にし、愛犬の健康管理の一助となることを願っています。
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