【飼い主必見】犬の下痢は危険サイン?便の色・形状・併発症状でわかる緊急度と自宅ケア

犬の健康

愛犬が急にビチビチ下痢をしてしまった

飼い主さんなら誰でも不安ですよね。
犬の下痢は
・単なる食べ過ぎ
から
・命に関わる重篤な病気
まで、非常に幅広い原因が考えられます。

「なぜ下痢をするのか」
「どんな下痢が危険なのか」
「今すぐ病院に行くべきか」
「家でできることは何か」

といった飼い主さんの疑問に答え
・腸内環境とストレスの関係
・便の匂いの重要性
など多角的な視点から
犬の下痢
を徹底解剖します。

愛犬の健康を守るため、ぜひ最後までお読みください。

1. なぜ犬は下痢をするのか?消化のメカニズムと「大腸性」「小腸性」の違い

犬の消化器は
・食べ物を消化・吸収し
・不要なものを便として排出する
役割を担っています。
この消化吸収のプロセスに異常が生じると、下痢を引き起こします。
犬の下痢は主に
「小腸性下痢」
「大腸性下痢」

の2種類に分けられ、それぞれ原因や症状が異なります。

小腸性下痢

●特徴

◇便の量
多い

◇排便回数
比較的少ない(正常〜やや増加)

◇血が混じる場合
黒っぽいタール状の便(消化された血液)になることが多い。

◇ガスが多く、お腹がゴロゴロ鳴る

◇体重減少
栄養不良を伴うことが多い。

●原因
小腸の消化・吸収機能の異常
・食中毒
・ウイルス・細菌感染
(パルボウイルス、コロナウイルスなど)
・寄生虫(回虫、ジアルジアなど)
・食物アレルギー/不耐性
・膵炎
・肝臓病
・炎症性腸疾患
・リンパ管拡張症など

●緊急度
重篤な病気が隠れている可能性
・体重減少
・元気消失
を伴う場合は緊急性が高い。

大腸性下痢

●特徴

◇便の量
比較的少ない

◇排便回数
非常に多い(頻繁に少量ずつ出る)

◇便の表面への付着
便に
・ゼリー状の粘液
・鮮血

が混じることが多い

◇しぶり
・便が出そうで出ない
・何度も力む
などが見られる。

◇体重減少
あまり見られないことが多い。

●原因
大腸の機能異常や炎症
・大腸炎(ストレス性、感染性、炎症性など)
・食物アレルギー/不耐性
・寄生虫(鞭虫など)
・ポリープ
・腫瘍など

●緊急度
緊急性は小腸性下痢より低いことが多い
ですが
・出血や痛み
・持続する場合

は受診が必要。

「下痢」は腸からのSOSサイン

下痢は
腸が何らかの異常を訴えている
サインです。
単に
・消化不良を起こしている
だけでなく
・体内で毒素が発生
・深刻な炎症が起こっている

可能性もあります。
特に子犬の激しい下痢
▶脱水を急速に招き
▶命に関わることもある
ため迅速な対応が不可欠です。

2. その下痢、緊急?様子見?【緊急度チェックリスト】

愛犬が下痢をしている時
まずは落ち着いて
▶以下の項目をチェックし
▶緊急度を判断しましょう。

□便の性状

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・水様便(水のようにシャバシャバ)
・黒色タール便(消化された血液)
・鮮血が大量に混じる


✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・泥状便
・軟便
・少量の鮮血や粘液が混じる

✓ 緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・普段より少し軟らかい程度

□排便頻度

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・非常に頻繁(1日に何度も)
・止まらない

✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・1日に数回
・いつもより多い

✓ 緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・1〜2回
・普段とあまり変わらない

□元気・食欲

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・ぐったりしている
・呼びかけに反応しない
・全く食べない
・水も飲まない

✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・少し元気がない
・食欲が落ちているが、水は飲む

✓ 緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・普段と変わらない
・元気

□他の症状

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・嘔吐(特に繰り返す)
・発熱
・腹部の痛み/張り
・震え
・痙攣
・体重減少
・粘膜蒼白(貧血)

✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・軽度の嘔吐
・腹部が少し張っている
・お腹がゴロゴロ鳴る

✓ 緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)

・他の症状は特になし

□犬種・年齢

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・子犬(特にワクチン未接種)
・老犬
・持病がある犬種(低血糖注意)

✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・成犬で健康な犬

□持続期間

✓緊急度:高
(すぐに受診)
・24時間以上続く下痢

✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・数時間続く下痢

✓ 緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・一過性で数時間以内に落ち着いた

子犬の激しい下痢は特に危険!

子犬の激しい下痢は
・パルボウイルスなどの感染症
・急速な脱水を招くなど
命に関わることがあります。

また
・黒色タール便は消化管からの出血
・鮮血が大量に混じる場合は
  ・重度の炎症
  ・異物による損傷
の可能性、緊急性が非常に高いです。
上記の「緊急度:高」に該当する場合は、ためらわずにすぐに動物病院を受診してください。

3. 下痢の様子(便の色と性状)から予測される病気の種類

便の
・色
・性状
は、愛犬の体内で何が起こっているかを知る重要な手がかりになります。

●茶色(通常の便より薄い/濃い)

◇考えられる原因・病気
一般的な下痢の色です。
・胆汁の分泌
・腸内通過速度
によって濃淡が変わります。
食事内容の影響も受けます。

●黄色・オレンジ色

◇考えられる原因・病気
胆汁がうまく吸収されずに
・排泄されている
または
・腸内通過が速い
ことを示唆します。
・消化不良
・空腹時
・胆嚢や膵臓の問題の可能性も

●緑色

◇考えられる原因・病気
・食事(草を食べたなど)
・胆汁の排泄異常
・腸内細菌の異常繁殖など

●黒っぽい(タール状)

◇考えられる原因・病気
非常に危険なサインです。
上部消化管(食道、胃、小腸の前半)の出血
▶消化酵素と混ざり
▶酸化して黒くなります。
・胃潰瘍
・腫瘍
・異物による損傷
・重度の感染症
・凝固異常など
緊急性が高いことが多いです。

●灰色・白っぽい

◇考えられる原因・病気
・膵外分泌不全
(脂肪を分解する酵素が不足)
・胆管閉塞(胆汁が腸に流れない)
など
・脂肪の消化吸収
・胆汁に関わる問題

が考えられます。
脂肪便のような見た目になることも。

●赤い(鮮血)

◇考えられる原因・病気
・大腸や
・肛門付近
からの出血を示唆します。
・大腸炎(感染性、炎症性)
・寄生虫
・ポリープ
・腫瘍
・異物による損傷
・肛門腺の問題
などが考えられます。
粘液と混ざることが多いです。

性状

●水様便(シャバシャバ、ほとんど液体)

◇考えられる原因・病気
・重度の胃腸炎
(ウイルス性:パルボウイルス、コロナウイルス、ロタウイルスなど)
・細菌性食中毒
・異物誤飲
・毒物摂取
・急性膵炎
・腎不全
・肝不全の末期。

◇栄養の吸収が十分に行われていない
また急速な脱水を招きます。
特に
・冬場に
・子犬で多発する場合
は、ウイルス感染を強く疑います。

●泥状便/軟便(形がないが水様便ではない)

◇考えられる原因・病気
・軽い食中毒
・フードの切り替え
・食べ過ぎ
・ストレス
・軽い胃腸炎
・寄生虫(初期)

◇典型的なタイプ
・一時的な消化不良
・ストレスによる下痢
で最も多いタイプです。
しかし、これが続く場合は
・炎症性腸疾患
・食物アレルギーの可能性
も視野に入れる必要があります。

●便にゼリー状の粘液が混じる
透明〜白っぽいゼリー状、白い膜状

◇考えられる原因・病気
・大腸炎
(ストレス性、食物アレルギー、細菌感染)
・寄生虫(鞭虫、ジアルジアなど)
・大腸ポリープ。

◇粘液
大腸の粘膜の炎症による分泌
特に
・ストレスに弱い犬
・食物アレルギーを持つ犬
の大腸性下痢でよく見られます。

●便に鮮血が混じる
便の表面に付着、または少量混じる

◇考えられる原因・病気
・大腸炎(重度)
・肛門周囲の炎症や損傷
・寄生虫(鞭虫)
・ポリープ
・腫瘍

◇鮮血
消化管の下部
(大腸や肛門に近い部分)からの出血を示唆します。
しぶりを伴うことが多いです。

●黒色タール便
粘り気があり、コールタール状

◇考えられる原因・病気
消化管上部(胃や小腸)からの出血。
・胃潰瘍
・重度の胃炎
・異物による損傷
・重篤な感染症
・腫瘍など

◇緊急性
血液が胃酸と反応して黒く変色したもの
緊急性が非常に高い状態です。
貧血を伴うことも多いため、歯茎の色(白ければ貧血)も確認しましょう。

●異物が混じる
・未消化のフード
ビニール片
おもちゃの破片など

◇考えられる原因・病気
異物誤飲による消化管の刺激や閉塞。

◇異物が消化管を通過する際
▶粘膜を傷つけ
▶下痢を引き起こすことがあります。
時には腸閉塞を起こすこともあるため、異物の種類によっては緊急手術が必要です。

●寄生虫が混じる
(白い米粒状、細い糸状など)

◇考えられる原因・病気
・回虫
・条虫
・鞭虫
・ジアルジア
などの消化管内寄生虫。

◇特に子犬で多く見られます。
成犬でも
・駆虫が不十分な場合
・野外での感染機会がある場合
に起こり得ます。
定期的な駆虫の重要性を再認識するサインでもあります。

◇上記の情報はあくまで一般的傾向です
 例外も多数存在します。
◇複数の性状が同時に見られることも
◇下痢の性状だけでなく、
・犬の元気や食欲
・嘔吐の有無などの総合的判断が必須

4. 併発症状から予測される病気

下痢に加えて
他の症状が見られる場合
はより具体的な病気を推測できます。

●下痢+嘔吐

◇予測される病気
・急性胃腸炎(ウイルス性、細菌性)
・食中毒
・膵炎
・異物誤飲
・腎臓病
・肝臓病
・中毒

◇脱水症状に注意
消化器系の炎症が広範囲に及んでいる可能性が高く、脱水症状に非常に注意が必要。

●下痢+元気がない/食欲不振/発熱

◇予測される病気
・重度の感染症
(特に子犬のパルボウイルス)
・重度の炎症性腸疾患
・膵炎
・重篤な臓器疾患

◇これらの全身症状は
病気が進行しているサインです。
特に発熱は、体が病原体と戦っている証拠

●下痢+腹部の痛み/張り

◇予測される病気
・腸閉塞
・胃拡張・胃捻転(嘔吐も伴う)
・重度の膵炎
・腹膜炎

◇胃拡張・胃捻転
大型犬に多く
急速に悪化するため
▶一刻を争う事態です。
腹部の
・異常な膨らみ
・痛みを伴う場合
はすぐに病院へ。

●下痢+体重減少

◇予測される病気
・慢性的な炎症性腸疾患(IBD)
・食物アレルギー
・消化吸収不良症候群
・膵外分泌不全
・悪性腫瘍
・慢性腎臓病/肝臓病。

◇長期間にわたる下痢と体重減少
栄養の吸収がうまくできていないサイン。
生活の質が著しく低下します。

●下痢+多飲多尿

◇予測される病気
・腎臓病
・糖尿病
・クッシング症候群など。

◇問題とならない場合も
下痢による脱水で喉が渇き
▶水を多く飲むこともある
しかし
元々多飲多尿がある場合
▶他の内臓疾患の可能性も視野に入れる

5. 愛犬が下痢をした!その場でできる応急処置と対策

・緊急性が低いと判断された場合
・病院に行くまでの応急処置
として、以下のことを試みましょう。

●便の片付けと状態の記録

◇すぐに片付けず
・写真に撮る
・可能であれば一部を採取
などして
・色
・形状
・粘液
・血液の有無
獣医に伝えられるように準備。

◇写真は
診察時の重要な情報源。
特に異物が混じっている場合は、その異物を保管しておきましょう。

◇匂いも重要な情報源
どんな匂いがするかの確認
獣医は匂いからも病気を予測します

●絶食と水分の与え方

◇絶食
下痢が止まるまでは
・最低でも6〜12時間
・子犬は4〜6時間
絶食させます。
胃腸を休ませることが目的です。

◇水分
・少量の水
・犬用の経口補水液
を時間を空けて与えてみましょう。
一気に与えるとまた吐いてしまうことがあります。
▶舐める程度から始め
▶飲めるようなら少しずつ量を増やす。
氷を舐めさせるのも一つの方法です。

◇水分摂取が困難な場合
他、下痢が続く場合
脱水のリスク
が高まるため、早めに受診を検討してください。

●下痢が落ち着き元気が出たら

◇食事の開始
・消化しやすく
・脂肪分の少ない食事

を少量与え始めます。
・少量のおかゆ
・鶏むね肉を茹でて細かく裂いたもの
など。

◇数回に分けて少量ずつ与える
下痢が悪化しないのを確認
▶徐々に量を増やしていく。

◇普段のフードに戻す
数日かけて少しずつ切り替える。
消化器サポートの療法食も検討

●安静にさせる

◇無理に散歩に行かない
遊ばせたりもせず
・ケージ
・クレート
で安静にさせましょう。
体力を温存させることが大切です。

 6. 下痢を防ぐための長期的な対策と予防

日頃からの対策で、下痢のリスクを減らすことができます。

●食事管理の徹底

◇フードの急な変更を避ける
新しいフードに切り替える際は
▶既存のフードに少しずつ混ぜて
1週間から10日かけて徐々に慣らしていきましょう。

◇与えてはいけないものを管理
・人間が食べるもの
・犬では禁忌とされる食べ物
(玉ねぎ、チョコレート、ブドウなど)
・犬にとって危険な異物
(おもちゃの破片、電池など)
は、犬の手の届かない場所に保管。

◇フードアレルギーが疑われる場合
食物アレルギー検査だけでなく、除去食試験を厳密に行うことが重要です。
獣医と相談しながら進めましょう。

◇フードの「鮮度」も重要
開封後は密閉容器に入れ、酸化を防ぐ
また
▶大量に買い置きせず
▶新鮮なものを与えることも大切

●寄生虫予防と定期的な便検査

◇定期的な駆虫薬の投与
に加え
・年に1〜2回は便検査
目に見えない寄生虫
・ジアルジア
・コクシジウムなど
がいないかを確認しましょう。

◇散歩中
散歩中に他の犬の便を口にしないように注意することも、寄生虫感染を防ぐ上で重要

●ストレス軽減
・引越しや環境の変化
・家族構成の変化など
犬にとってストレスとなる要因をできるだけ減らしましょう。
適切な運動や遊びで、ストレスを解消してあげることも大切です。
犬によっては、ストレスが大腸性下痢の引き金となることも!

◇ストレスによる下痢
自律神経の乱れから
▶腸の動きが過敏になり起こります
・安心できる環境作り
・適度な遊び
・充分な休息が重要です。

●定期健診
年に1〜2回の健康診断で、早期に病気を発見できることがあります。
特に高齢犬は、年に2回の受診をおすすめします。

7.知っておきたい!犬の下痢に関する豆知識

●「便の匂い」は重要な情報源
便の
・色
・形状

だけでなく
・匂い
も獣医にとっては重要な情報です。
・腐敗臭が強い場合▶細菌感染
・酸っぱい匂い▶消化不良
など、匂いから原因を推測できる可能性。

●「腸内環境」と下痢の密接な関係
腸内には
免疫細胞の約7割が存在する
と言われています。
腸内細菌のバランスが崩れると
▶免疫力が低下
▶下痢だけでなく様々な病気のリスクが高まります。
・プロバイオティクス
・プレバイオティクス
の摂取は、腸内環境改善に有効です。

●季節と下痢
・季節の変わり目
・特に夏場の暑さ
による
・食欲不振
・消化器機能の低下
あるいは
・冬場の冷え
などが下痢の原因となることがあります。

●「水様便+元気」=病気ではない?
一時的に水様便が出ても
・犬が元気で食欲もあり
・すぐに落ち着く
ようであれば、大きな問題でないこともあります。
しかし、油断は禁物です。

●慢性的な下痢は炎症性腸疾患かも
長期間にわたって下痢が続く場合は、炎症性腸疾患(IBD)の可能性も考えられます。
これは特定の治療法がない場合も多く
・食事管理
・免疫抑制剤など
で症状をコントロールしていく病気です。

●誤飲の危険性
下痢と嘔吐を繰り返す場合
消化できない異物
・おもちゃ
・骨
・布など
を誤飲している可能性も
誤飲は「緊急度:高」に該当

まとめ:愛犬の下痢は、腸からの大切なメッセージ。見極めと迅速な対応が鍵

愛犬の下痢は
体の不調を知らせる大切なサイン
です。
・便の性状
・頻度
・併発する症状
そして
・愛犬の普段の様子
総合的に判断し、適切な対応をとることが何よりも重要です。

もし少しでも
「おかしい」
と感じたら、迷わず動物病院を受診してください。
・早期に原因を特定
・治療を開始する

それこそが
愛犬の健康と命を守ることに繋がります。
この記事が、愛犬との健やかな生活の一助となれば幸いです。

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