
愛犬が突然吐いてしまった!
飼い主さんなら誰でも不安になることでしょう。
犬の嘔吐は
・単なる食べ過ぎ
から
・命に関わる重篤な病気
まで、様々な原因が考えられます。
「なぜ吐いたのか?」
「今すぐ病院に行くべきか?」
「家でできることは何か?」
といった飼い主さんの疑問に答え
・嘔吐のメカニズム
・心理的な要因
など多角的な視点から
犬の嘔吐
を徹底解剖します。
愛犬の健康を守るため、ぜひ最後までお読みください。
1. なぜ犬は吐くのか?嘔吐のメカニズムと「吐き戻し」との違い
犬の嘔吐には、大きく分けて
・吐き戻し
・嘔吐
の2種類があります。
これらを区別することが、原因を探る第一歩です。
吐き戻し(吐出)
●特徴
食べたものが
・ほとんど消化されずに
・ほぼそのままの形で
出てきます。
胃に入る前に
▶食道から逆流するような形で
▶腹圧をかけずにスルッと吐き出す
のが特徴です。
●原因
・食道疾患(巨大食道症など)
・早食い
・食後すぐの運動
などが考えられます。
●緊急度
基本的に嘔吐ほど緊急性は高くない。
それでも頻繁に起こる場合は獣医の診察が必要です。
嘔吐
●特徴
胃の内容物が
強い腹圧を伴って排出されます。
・消化が進んだ食べ物
・胃液
・胆汁
などが含まれることがあります。
吐く前に
・「ウエッ!」「ガッ!」とえずいたり
・落ち着きがなくなったり
する前兆が見られることが多いです。
●原因
・消化器疾患
・感染症
・中毒
・内分泌疾患
・腎臓病
・肝臓病
・膵炎
・神経疾患
・ストレス
など、非常に多岐にわたります。
●緊急度
吐き戻しに比べて
緊急性が高い場合が多い。
特に
・頻繁な嘔吐や
・他の症状を伴う場合
は速やかな受診が必要です。
「嘔吐」は脳が制御する防御反応
嘔吐は、体にとって有害なものを排出しようとする防御反応の一つ。
脳の延髄にある
嘔吐中枢
が刺激されることで起こります。
この中枢は
・消化管からの刺激
(炎症、異物、毒素など)
・血液中の毒素
・平衡感覚の異常
・ストレスなど
様々な要因によって活性化。
だから嘔吐は
様々な病気のサイン
と言えるです。
2. その嘔吐、緊急?様子見?【緊急度チェックリスト】
愛犬が吐いた時、まずは落ち着いて
・以下の項目をチェックし
・緊急度を判断しましょう。
□嘔吐の頻度
✓緊急度:高
(すぐに受診)
繰り返し何度も吐く、止まらない
✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
1日に数回だが、その都度元気がない
緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
1回だけ吐いた
□元気・食欲
✓緊急度:高(すぐに受診)
・ぐったりしている
・呼びかけに反応しない
・全く食べない
✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・少し元気がない
・食欲が落ちているが、水は飲む
✓緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・普段と変わらない
・すぐに元気になる
□他の症状
✓緊急度:高
(すぐに受診)
・下痢
・血便
・高熱
・呼吸困難
・痙攣
・腹部の張り
・黄疸
(目の白い部分や歯茎が黄色い)
✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・軽度の下痢
・少しぐったりしている
・震えがある
✓緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・特に症状なし
□嘔吐物の内容
✓緊急度:高
(すぐに受診)
・異物(おもちゃ、ビニールなど)
・血が混じっている
(鮮血、コーヒーかす状)
✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・黄色い泡(胆汁)
・透明な液体(胃液)
・消化されてないドッグフード
✓緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・未消化のフード
・草
・唾液(少量の泡)
□吐いたタイミング
✓緊急度:高
(すぐに受診)
・時間に関係なく突然吐く
✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・食後数時間経ってから吐く
・空腹時に吐く
✓緊急度:低
(一時的なもの・自宅で様子見)
・早食いの後に吐く
・食後すぐの運動後に吐く
□犬種・年齢
✓緊急度:高
(すぐに受診)
・子犬(特にワクチン未接種)
・老犬
・持病がある犬種
(例:チワワ、ヨーキーは低血糖注意)
✓緊急度:中
(数時間様子見・改善なければ受診)
・成犬で健康な犬
【重要】迷ったら即受診が基本!
上記はあくまで目安です。
少しでも不安を感じたら、迷わず動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
特に
・子犬
・老犬
は体力がないため
・脱水
・低血糖
に陥りやすく
急速に状態が悪化することがあります。
3. 嘔吐物の色と状態でわかる病気の種類
嘔吐物の
・色
・状態
は、愛犬の
体内で何が起こっているか?
を知る重要な手がかりになります。
●透明な液体/泡(胃液)
◇予測される病気
・空腹による胃液の逆流
(胆汁性嘔吐症候群)
・胃炎、食道炎
・ストレス、乗り物酔いなど
◇胃が空っぽで吐く場合
・食道が荒れている
・胃酸過多のサイン
であることも。
食事回数を増やす(少量頻回)ことで改善することもあります。
●黄色い液体/泡(胆汁)
◇予測される病気
・胃炎
・空腹
・腸炎
・膵炎
・肝臓病
・異物誤飲など
◇黄色い液体は胆汁
通常は十二指腸に分泌されます。
それが逆流して
▶胃に入ると吐き出されます。
これは
・胃の調子が悪い
だけでなく
・小腸の動きが停滞している
サインであることも。
●白い泡/泡状
◇予測される病気
・胃炎
・食道炎
・呼吸器疾患(咳き込んで吐く)
・乗り物酔い
・興奮など
◇唾液過多
・ストレス
・興奮
によって泡状の唾液を吐き出すことも。
特に分離不安の犬が留守番中に吐くケース
●未消化のフード/消化されたフード
◇予測される病気
・早食い
・食べ過ぎ
・フードの切り替え
・アレルギー
・胃腸炎
・食道疾患(吐き戻しの場合)など。
◇フード
・粒が大きく
・消化しにくい
場合は
・フードのふやかし
・小さめの粒への変更
を検討することも有効です。
●草/異物
◇予測される病気
・胃の不調
・好奇心による誤食
・栄養不足
・異物誤飲
◇犬が草を食べるのは?
・胃の不快感を和らげたり
・吐くことで胃を空っぽにする
自己治療行動である可能性もあります。
ただし
・大量の草
・毒性のある植物
の摂取は危険です。
●血(鮮血)が混じっている
◇予測される病気
・胃潰瘍
・食道炎
・口腔内の出血
・異物による食道や胃の損傷
・腫瘍など
◇鮮血が出ている場合
すぐに病院へ
消化管の上部からの出血の可能性が高い!
犬は血の匂いに敏感なので、少量の出血でも動揺することがあります。
●血(コーヒーかす状)が混じっている
◇予測される病気
・消化管からの出血
※胃や十二指腸からの出血で、血液が胃酸と反応して黒っぽくなる
・胃潰瘍
・重度の胃炎
・腫瘍など
◇緊急性が非常に高い状態
血液が胃液で変性している
▶かなりの時間胃の中にあったことを示唆します。
●寄生虫が混じっている
◇予測される病気
回虫などの消化管内寄生虫。
◇定期的な駆虫の重要性
子犬に多く見られますが、成犬でも駆虫が不十分な場合に起こり得ます。
4. 併発症状から予測される病気
嘔吐に加えて、他の症状が見られる場合は、より具体的な病気を推測できます。
●嘔吐+下痢
◇予測される病気
・急性胃腸炎
・食中毒
・感染症
(パルボウイルス、コロナウイルスなど)
・寄生虫
・フードアレルギー
・膵炎など
◇脱水症状に注意!
消化器系の炎症が広範囲に及んでいる可能性が高いです。
●嘔吐+元気がない/食欲不振
◇予測される病気
・胃腸炎
・感染症
・異物誤飲
・膵炎
・腎臓病
・肝臓病
・中毒
・その他重篤な病気
◇元気がない場合
・痛み
・全身的な不調を伴っている
可能性が高く
内臓系の病気を強く疑います。
●嘔吐+腹部の痛み/膨らみ
◇予測される病気
・腸閉塞
・胃拡張・胃捻転症候群
(緊急性が非常に高い)
・腹膜炎
・重度の膵炎など
◇胃拡張・胃捻転
大型犬に多く、急速に悪化するため、一刻を争う事態です。
腹部の
・異常な膨らみ
・痛み
を伴う場合はすぐに病院へ。
●嘔吐+発熱
◇予測される病気
・感染症(細菌性、ウイルス性)
・炎症性疾患(膵炎など)
◇発熱は体が病原体と戦っているサイン
感染症の可能性が高いため
▶抗生剤などの治療が必要になることも。
●嘔吐+痙攣/意識障害
◇予測される病気
・中毒
・脳炎
・腎不全による尿毒症
・肝不全
・低血糖(特に子犬)など。
◇一刻も早く獣医の診察が必要
・脳
・神経系
に異常がある可能性があり!
非常に危険な状態です。
5. 愛犬が吐いた!その場でできる応急処置と対策
・緊急性が低いと判断された場合
・病院に行くまでの応急処置
として、以下のことを試みましょう。
●吐物の片付けと記録
◇すぐに片付けず
・写真に撮る
・可能であれば一部を採取
などして
・色
・量
・内容物
を獣医に伝えられるように準備。
◇写真は
診察時の重要な情報源。
特に異物が混じっている場合は、その異物を保管しておきましょう。
●絶食と水分の与え方
◇絶食
嘔吐が止まるまでは
・最低でも6〜12時間
・子犬は4〜6時間
絶食させます。
胃腸を休ませることが目的です。
◇水分
・少量の水
・犬用の経口補水液
を時間を空けて与えてみましょう。
一気に与えるとまた吐いてしまうことがあります。
▶舐める程度から始め
▶飲めるようなら少しずつ量を増やす。
◇水分摂取も吐いてしまう場合
脱水のリスクが高まるため、早めに受診を検討してください。
氷を舐めさせるのも一つの方法です。
●吐き気が落ち着いたら
◇食事の開始
・消化しやすく
・脂肪分の少ない食事
を少量与え始めます。
・少量のおかゆ
・鶏むね肉を茹でて細かく裂いたもの
など。
◇数回に分けて少量ずつ与える
吐かなければ徐々に量を増やしていく。
◇普段のフードに戻す
数日かけて少しずつ切り替える。
●安静にさせる
◇無理に散歩に行かない
遊ばせたりもせず
・ケージ
・クレート
で安静にさせましょう。
体力を温存させることが大切です。
6. 嘔吐を防ぐための長期的な対策と予防
日頃からの対策で、嘔吐のリスクを減らすことができます。
●食事管理の徹底
◇早食い防止
・早食い防止食器の使用
・少量頻回給餌
(一度に与える量を減らして回数を増やす)
などで早食いによる嘔吐を防げます。
◇フードの急な変更を避ける
新しいフードに切り替える際は
▶既存のフードに少しずつ混ぜて
▶1週間から10日かけて徐々に慣らしていきましょう。
◇与えてはいけないものを管理
・人間が食べるもの
・犬では禁忌とされる食べ物
(玉ねぎ、チョコレート、ブドウなど)
・犬にとって危険な異物
(おもちゃの破片、電池など)
は、犬の手の届かない場所に保管。
◇フードアレルギーが疑われる場合
食物アレルギー検査だけでなく、除去食試験を厳密に行うことが重要です。
獣医と相談しながら進めましょう。
●生活環境の整備
◇異物誤飲防止
室内外に危険なものを放置しないよう徹底
特に子犬はなんでも口に入れる癖があるため、細心の注意が必要です。
◇ストレス軽減
・引越しや環境の変化
・家族構成の変化など
犬にとってストレスとなる要因をできるだけ減らしましょう。
適切な運動や遊びで、ストレスを解消してあげることも大切です。
◇環境エンリッチメント
・遊びの提供
・知的好奇心を満たすおもちゃなど
愛犬の生活環境を豊かにすることは
・退屈によるストレスや
それから来る
・誤食
・嘔吐
を減らすことにも繋がります。
●定期的な健康チェックと予防
◇定期健診
年に1〜2回の健康診断で、早期に病気を発見できることがあります。
特に高齢犬は、年に2回の受診をおすすめします。
◇ワクチン接種・寄生虫予防
・感染症
・寄生虫
による嘔吐を防ぐためにも
・定期的なワクチン接種
・ノミ・ダニ・フィラリア・消化管内寄生虫の予防
を忘れずに行いましょう。
7. 知っておきたい犬の嘔吐に関する豆知識
●犬の「空腹嘔吐」は意外と多い
夜間や朝方に
・黄色い泡
・胃液
を吐く犬は珍しくありません。
これは
▶空腹時間が長く
▶胃酸が過剰に分泌される
ことで起こる
「胆汁性嘔吐症候群」の可能性。
・寝る前に少量のおやつを与える
・食事回数を増やすこと
で改善することがあります。
●吐くことが「解決」になる場合も
犬は、胃の不快感を取り除くために意図的に草を食べて吐くことがあります。
これは自然な行動ですが、あまり頻繁に続く場合は獣医に相談しましょう。
●ストレスが嘔吐を引き起こす?
精神的なストレス
・分離不安
・環境の変化
・来客など
が犬の胃腸に影響を与え、嘔吐を引き起こすことがあります。
原因となるストレスを取り除くことが根本的な解決に繋がります。
●吐く直前のえずきは個体差が大きい
・吐く前に分かりやすくえずく
犬もいれば
・突然吐き出す
犬もいます。
普段の愛犬の様子をよく観察し、異変に早く気づけるようにしましょう。
まとめ:愛犬の嘔吐はメッセージ。見極めと迅速な対応がカギ
愛犬の嘔吐は、体の不調を知らせる大切なサインです。
・嘔吐物の様子
・併発する症状
・そして愛犬の普段の様子
を総合的に判断し、適切な対応をとることが何よりも重要です。
もし「少しでもおかしい」と感じたら
迷わず動物病院を受診
してください。
・早期発見
・早期治療
が、愛犬の健康と命を守る鍵。
この記事が、愛犬との健やかな生活の一助となれば幸いです。
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