犬の必須栄養素ナイアシン!のついでにニコチンの危険性

犬の栄養

※この記事は栄養成分自体の化学的な性質等を示すものであり、ごはんの効能を表すものではありません。

ナイアシンの前にちょっと寄り道。【ニコチン】とは?

ニコチンはたばこに含まれる毒物
かつてゴキブリの殺虫剤に使用されていたことからも、その恐ろしさが分かります。
喫煙でニコチン接種すると

少量で興奮作用、大量で鎮静作用。
血管を収縮、血圧上昇、心臓負担。
動脈硬化促進
循環器系疾患
がん発症リスクを高める

とロクなことがありません。
しかも
自ら吸って健康を損なうのは知ったこっちゃないですが、たばこの副流煙はフィルターを通さない分、毒物ダダもれ!
受動喫煙の方が被害甚大!

副流煙に含まれるは、それぞれ主流煙の

ニコチン 3~20倍
タール 1.2~10倍
一酸化炭素 3~21倍
アンモニア 300~2500倍
とらのすけ
とらのすけ

だからワンちゃんのいるところでは、絶対にたばこを吸わないで!

なぜ先にニコチン?それはナイアシンの名前の由来から

ナイアシンはニコチン酸ニコチンアミドの総称です。
「え!?ニコチンなの?」
と思われた方、ご安心ください。
害毒のあるニコチンと、ニコチン酸・ニコチンアミドは全く別物です。
【ビタミンB3】とも呼びます。
ビタミンと聞くと安心でしょ。

ナイアシン(Niacin)はニコチン酸ビタミン(NIcotinic ACid vitamIN)の略称
元々ニコチンと混同されるのを避けるために名付けられたもの。

酸化還元酵素の補酵素(NADとNADP)として、エネルギー(ATP)の産生や脂肪酸合成、糖代謝など、いろんな場所で大活躍する重要な栄養素なのです。

ナイアシンのからだでの働きと、不足・過剰について

ナイアシンはビタミンB群のひとつで、体の代謝に欠かせない栄養素。
抗酸化ビタミン(VC/VE)の作用にも関わるなど、単体よりも、ほかのビタミンと共に摂取するとお互いの効果が高くなります。

その働きは

・皮膚や粘膜の健康維持
・摂取した糖質や脂質からエネルギーを生み出す
・精神的な安定

他にも体内で500種類以上もの酵素や栄養素にかかわるため、役割がとても多い

通常のごはんでは不足することの少ない栄養素ですが、その役割は非常に重要。

体に重要な【ナイアシン】不足するとどうなる?

どんな食事で不足する?

考えられるのは
・食事のメインがトウモロコシ
・肉・魚よりも野菜が多いご飯
特に植物由来のナイアシンは利用率が低いので、ヴィーガン食・マクロビオティック食など、特殊な状況では注意が必要。


不足するとどうなる?

・食欲不振、体重減少
・口内の炎症や潰瘍
・血様のよだれや下痢
・脊髄の神経変性
・腸の炎症
・黒舌病 など

※黒舌病
舌が褐色,黒色になる疾患で、人で言うペラグラに相当。
ニコチン酸投与で治癒
※ペラグラ
日に当たると皮膚炎、口舌炎、下痢など消化器系、頭痛やめまい、幻覚などの神経症状。


犬はトリプトファンからナイアシンを合成できます。
※猫はできないが、肉食なのでそもそも不足しない。
なのでトリプトファンを含むごはんでもナイアシン欠乏を緩和できます。
合成量は一日の必要量に満たないので、食事からも供給する必要はあります。

ナイアシン当量について

人の栄養データベースを見ると、「ナイアシン当量」なるものがあります。
これはトリプトファンからナイアシンへ変換した量も含めたもの。
人とわんちゃんでは、その変換率が違いますので参考にはできません。

過剰は不足より考えにくい?投薬中は注意

通常健康な状態であれば、ナイアシンは数時間で尿として排出されるので、過剰にはなりにくいです。
なのでAAFCOでも上限量は決められていません。

しかし過剰摂取で血様便の後、けいれん、死亡と続いた報告があります。
人では下痢や劇症肝炎のような症状。
なんでもそうですが、摂り過ぎはよくないということ。

過剰摂取が起きるとしたら?

通常のごはんでは過剰は考えにくいです。
あるとすれば、サプリメントや、高脂血症などの治療のための投薬時。

糖尿病では高用量に注意

ナイアシンは糖代謝に欠かせない一方で、血糖値を上げる恐れもあります。
またインスリン抵抗性(インスリンが分泌されているのにその効果が発揮できない状態)を引き起こすことも。
これも食事レベルではなく、何らかの治療での投与レベル。

手作りごはんにも!ナイアシンが多い食材は?

ナイアシンはビタミンB群のひとつなので、豚肉に多いのかと思いきや
鶏むね・ささみ・青魚系(カツオ・サバ・さわらなど)に多く含まれます。
次いで豚・鹿・羊・牛・魚・・卵黄など

ちなみにナイアシンの前駆体であるトリプトファンが多いのは豚ヒレ&ささみ
肉全般多く、次いでヤギホエイ

植物由来のナイアシンは利用率が低いので

とらのすけ
とらのすけ

【結論】肉食べとけば間違いない!笑

ナイアシンは熱に非常に強いので、加熱で失われることはありません。
一方で水には非常に溶け出しやすいので、煮汁ごと使えるようにするのがベストです。


※どうでもいいおまけ
古くなった肉にニコチン酸を塗ると、鮮やかな赤色になります。
新鮮に見える!
ので、肉への添加は禁止されています


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