【犬の糖尿病】原因・症状・予防・治療など

犬の病気

※画像のわんちゃんと糖尿病とは何ら関係はありません

犬の糖尿病とは?

通常では食事後、血糖値が上昇すると、膵臓内部の「ランゲルハンス島」からインスリンが分泌されます。
インスリンは血液中の糖分を細胞に取り込みやすくし、同時に血糖値を低下させる働きが起きます。

インスリンが機能しなくなり、血糖値が高い状態のままとなるのが糖尿病。
十分な糖分が血液中にあるのに、必要とされる細胞に供給されない・・・
常に心臓疾患、腎臓疾患、神経障害、視覚障害などの合併症のリスクと隣り合わせ。

使われなかった糖質は尿として排泄されるので、尿に糖が出るのが特徴。
だから「糖尿病」と呼びます。

①Ⅰ型糖尿病
ランゲルハンスからインスリンが正常に分泌されず高血糖の状態になる糖尿病。
犬ではほとんどがこれ。
②Ⅱ型糖尿病
インスリンの分泌機能は著しく低下していないが、十分に作用されていない糖尿病。
犬では非常にまれ。

犬の糖尿病の原因

①高脂肪食などの過食や肥満から

その結果、肝臓や筋肉に脂肪が蓄積し、インスリンの働きが低下

②他の疾患との合併症

例:ホルモンバランスの異常や、クッシング症候群の合併症として発症

③わんちゃんの高齢化

7歳を超えると発症するリスクが高まります。

女性ホルモンのエストロゲンがインスリンの作用を弱めるので、未避妊の女の子が最も糖尿病にかかりやすい。
同じ理由で男の子より女の子の方がおよそ2~3倍程度糖尿病になりやすい。

④糖尿病にかかりやすい犬種
トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー
ミニチュア・ピンシャー、ジャックラッセル・テリアなど

犬の糖尿病に見られる症状

ごはんを食べているのに体重減少

糖尿病=高血糖状態では、体の中でこんなことが起きています。

血液中に糖質があるが、細胞に十分な栄養が取り込まれない
⇒細胞は常に飢餓状態
⇒栄養を取り込もうと食欲が増進
⇒でもやっぱり細胞に十分な栄養が取り込まれない
⇒細胞は飢餓状態が続く
⇒摂取した糖分は尿として排泄
⇒体内に蓄えているたんぱく質や脂肪を分解して生命維持
⇒脂肪や筋肉の量が減少し痩せる

水を飲む量が増えおしっこも増える

これも高血糖状態が原因です。

高血糖状態=本来は細胞内にいるはずの水分までも血管内に引き出す
血管内の水分量増
⇒増加した水分は尿として排泄
⇒細胞はますます水を欲しがる
⇒水を飲む量が増える

糖尿病で注意すべき併発の恐れのある疾患

・糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性白内障

・肥満を起点として
高脂血症・胆泥症・胆のう糖胆嚢腫・内分泌疾患(クッシング症候群・甲状腺機能低下症など)・膵炎

・腎臓や肝臓の機能にも影響

・細菌などに対する抵抗性が落ちるので、感染症になりやすい
※糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病後期から末期の重篤な状態

細胞に糖分が供給されない
⇒脂肪をエネルギー源として使用
⇒「ケトン」の生成
⇒ケトンによって体内が酸性化して発症。

強い脱水、嘔吐、下痢、独特の口臭、さらに進行すると昏睡状態になり死に至ることも

糖尿病の治療の例

◇インスリン治療

Ⅰ型糖尿病で
体内でインスリンを正常に分泌できない=インスリン注射が必要になります。

インスリンにはいくつかの種類があるので、個体に合わせて適切な種類を選択
投与量を設定し、定期的に血糖値の変動が安定しているかをチェックします。

原則1日2回注射
投与する時間帯は固定
毎日注射が必要=飼い主様が注射を打つ

※注意
インスリンで低血糖の可能性も

・症状
元気消失、体温低下や、けいれん

個々に適した安定した血糖値を見出して維持することが基本

◇輸液治療

腎臓の浸透圧利尿作用による尿量が増加
⇒水分が余分に排泄される
⇒必要に応じて輸液による治療

特に糖尿病性ケトアシドーシスでは、厳重なインスリン管理と輸液の投与が必要
⇒体内の水分や電解質のバランスを改善

◇食事療法

繊維質を多く含み、食事後に急激に血糖値が上昇しないような配慮

食事の時間や量は統一
進行で体重減少するので、食事量は獣医さんと相談しながら

最後に

Ⅰ型糖尿病の完全な予防は難しいです。

できることは
・普段の食生活に配慮しながら
・適度な運動を心がける
肥満にならないように注意
ストレスを与えない
・他の合併症を誘発しやすいため、日頃から体調の変化に留意

女の子の場合は女性ホルモンがインスリンの作用を減弱させるため、避妊手術がある意味予防になります。

糖尿病は一度かかると完全には治らない。
人間では生活習慣病に数えられるもの。
わんちゃんでも特に肥満に注意。
良質なご飯と、適度な運動・飼い主様とのふれあいが一番の予防法かもしれま

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