※この記事は栄養成分自体の化学的な性質等を示すものであり、ごはんの効能を表すものではありません。
冒頭からなんなのですが
砂ずりは、犬のご飯の食材としては
凡庸である
(すぐれた点がなく、平凡なこと)
※あくまでも個人の感想
むしろ食べるのは大好き
シンプル・イズ・ベスト
塩コショウして焼くだけで旨い。
味もいいし、食感も最高!
人であれば、お酒のあてにもってこい
飲食店でも人気の食材
人の嗜好品としては優秀
しかし、わんちゃんに毎日のご飯として食べさせるとなると話は別。
砂ずり(砂肝)はヘルシーで栄養たっぷり!が売り文句
嗜好性以外の部分、
つまり栄養面での砂ずりのメリットは
・糖質がほぼ0
・カロリーはささみより低い
・アミノ酸スコア100の良たんぱく
・鉄・亜鉛・ビタミンB12・ビタミンK・ナイアシンなど、豊富な栄養素
このメリットにより
膵炎のわんちゃんにもピッタリ!
☆低脂肪・高たんぱく・糖質0で低カロリー!最高のダイエット食材!
☆栄養豊富な究極の健康食材!
と言いたいところですが・・・
そう言い切れないのがレシピ作りの難しさ
砂ずりをヒッポのごはんで使う食材として検討していましたが、気になる点が2つ
まず1つ目の気になる点
他の肉と栄養素を比較してみると
砂ずり 18.3
豚ヒレ 22.2
鶏ささみ 23.9
他の肉と比べて、決して高いとは言えない
・脂質(g/食材100g)
砂ずり 1.8
鶏むね 1.9
鶏ささみ 0.8
日本鹿 4.0
砂ずりの他にも低脂肪な肉は存在
・エネルギー(kcal/食材100g)
砂ずり 86
鶏むね 105
鶏ささみ 98
日本鹿 119
低カロリーさで優秀。でも他にも・・
・鉄(mg/食材100g)
砂ずり 2.5
鶏肝 9.0
いのしし 5.8(仮)
鶏ささみ 0.3
なんと鶏ささみの8倍の鉄分!
だけど鶏肝の3分の1以下
・亜鉛(mg/食材100g)
砂ずり 2.8
鶏むね 0.7
鹿 2.9
牛もも 4.5
なんと鶏むねの7倍の亜鉛!
だけど牛ももの4割減
他の肉と比較しても特別多くはない
・ビタミンK(μg/食材100g)
砂ずり 2.8
鶏むね 16.0
鶏ささみ 12.0
他の鶏肉のほうがかなり多い
・ビタミンB12(μg/食材100g)
砂ずり 1.7
鹿 1.3
鶏ささみ 0.2
鶏肝 44.0
一見優秀だが、肝は全般的に圧倒的
・ナイアシン(mg/食材100g)
砂ずり 3.9
豚ヒレ 6.9
鶏ささみ 12.0
牛もも 6.2
この量は多いと言っていいのか・・・
全てにおいて
別に砂ずりじゃなくてええやん
という印象を受けます。
アミノ酸スコアは100
(鶏肉全般アミノ酸スコア100ですが)
全体的に見れば栄養価は高いし、低脂肪
優秀な食材のはずなのに
これ!
といった突出したものがない。
それが砂ずりの栄養の特徴
次に2つ目の気になる点
それは・・・
メインの肉として使いにくいこと
あのゴリゴリとした姿形
マッチョな筋肉の塊
わんちゃんの毎日のごはんで
「砂ずりをがっつりメインで!」
というのは考えにくいでしょう。
メインの肉と言えばやっぱり
ちょっと変化球でも
・鹿肉・猪肉・羊肉
といったところでしょう。
1回の食事ではおおよそ
その他(穀物+芋類+野菜+他)50%
というのが一般的な割合。
砂ずりの立ち位置はその他の中の+他
つまりサブキャラ扱い
その使用量はせいぜい5~10%というところ
メイン肉の量は砂ずりの5~10倍
そんな中では、突出した個性のない砂ずりは全く輝けない。
同じサブキャラでも
コリン摂取はこれだけ食べればOK
・牡蠣
銅や亜鉛など不足しやすい栄養を効率的にカバー
・しめじ
オルニチンがシジミの7倍!肝臓の健康に
少量でも輝きまくる食材も存在します。
サブキャラは、何か突出して光るものがないと使いにくいと言えます。
栄養面だけに注目すると「入れても入れなくてもどっちでもいいかぁ~」みたいな感じ。
ですが!その凡庸さが逆にキラリと光る場面もあります。
凡庸さが個性に変わる!砂ずりの使いどころ
砂ずりの栄養の特徴は
・低脂肪で低カロリー高たんぱく
言い換えれば
栄養の過多・過少がなく、ごはんに+αで加えても栄養バランスを崩しにくい。
そんな性質ゆえに、レシピ設計がしやすくなるというメリットが生まれます。
例えば
☆栄養バランスがうまく取れたレシピで、もう少し量が欲しいときのかさ増しに。
☆メイン肉の一部を砂ずりに置き換えることで、全体の原価を下げるという効果。
ただしこれは
・砂ずり価格の高騰
・固い部分を取り除くので歩留まりが悪い
などの理由で十分な効果があるとは言えないかも
「突出したものがない」という砂ずりの性質を生かした使い方もできるのです。
同じ理由で砂ずりは、おやつやトッピングとして優秀な食材だとも言えますね!
砂ずりは消化不良を起こしやすい?それとも消化を助ける?
砂ずりは、いわば筋肉の塊です。
コリコリ食感から想像できるよう、そのままでは決して消化は良くありません。
なので
・小さく切ったり、ミキサーにかける
など消化不良を起こさないように調理。
特に小さなわんちゃんでは、のどに詰まらせる危険性もあるので注意しましょう。
あとは量をあげすぎないこと。
手作りごはんでも、メインというよりサブ的な使い方がおすすめ。
消化とは関係ないですが、必ず加熱してあげることも大切です。
「砂ずりが消化を助ける」は薬膳の考え方から
薬膳の前にひとつ
砂ずりとは?
そもそも何者なのか?
砂ずりは、器官としては砂嚢(さのう)と呼ばれる胃の一部。
鶏は飲み込んだ砂や小石を歯の代わりにし、砂嚢で食べたものをすりつぶします。
※平飼いで砂を飲み込むが、ケージ飼育など飼育の仕方によっては砂を飲み込んでいないものも
なので「砂」「ずり」と呼ばれる。
鶏には歯がないので砂嚢が「嚙む」代わりをしているのです。
なのであんなに分厚い筋肉!
ここで話を戻します。
薬膳では身体の弱い部分を補うために、動物の同じ部位を食べる「以臓補臓いぞうほぞう」という考え方があります。
砂ずりは鶏の胃の一部。
なので砂ずりには、弱った胃を助ける効果があるとされています。
また「鶏内金」という漢方薬は、砂嚢の一部から作られています。
その効能は
・結石予防
・頻尿、夜尿の改善
こうして見ると、砂ずりは、なんだか胃によさそうな気がしてきました!
ちなみに鶏内金の原料は、厳密にいうと
・砂嚢の内膜
スーパーや肉屋さんの砂ずりは、すべてその内膜がはがされた後のもの。
※衛生上、直接飼料と触れていた内膜をはがしたものでないと店頭に並べられません
なので、砂ずりと鶏内金は、関係ないちゃあ関係ない。
砂ずり自体に、消化を促すような成分は含まれないので、あくまで東洋医学の見地としてお考え下さい。
で!結局
Q.砂ずりは消化にいいの?悪いの?
A.砂ずり自体はあまり消化が良くない。
消化不良を起こさないよう調理し、サブ的に適度な量をあげましょう。
そうすれば薬膳効果で、胃の力が強まり、消化が活性化される可能性があります。
こんな感じでいかがでしょう?
コメント